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報道では伝わらなかった震災の真実…映画『遺体 明日への十日間』監督が語る「ご遺体と向き合うということ」

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映画『遺体 明日への十日間』より
映画『遺体 明日への十日間』より - (C) 2013フジテレビジョン

 1万8,000人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災は11日、発生から2年を迎えた。震災後、日本の映画界では、フィクション、ドキュメンタリーとさまざまな形で、東日本大震災を描いた作品が作られてきた。その中でも現在注目を浴びているのが、遺体安置所で働く方々を描いた映画『遺体 明日への十日間』。今月3日に行われたシナリオセンターでの特別トークショーで、メガホンを握った君塚良一監督は、映画化を決意したきっかけを語った。

映画『遺体 明日への十日間』劇中写真

 君塚監督は、18年前、淡路・阪神大震災のドキュメンタリー番組を制作。「当時、僕はバラエティーやドキュメンタリーの構成の仕事をしていたが、阪神・淡路大震災が発生したその日に、笠井(信輔)アナウンサーが現地入りしたルポを30分のドキュメンタリー番組にしたいと、フジテレビから話があった」と当時を振り返る。

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 「ドキュメンタリー番組の構成というのは、素材を見て、どうつなげてまとめるかという編集者のような作業です。その日に撮られた素材は10時間のほぼノーカット映像で、路上にはご遺体があり、焼けこげた遺体なども映っていて、正直途中からはその素材を観られませんでした」と自分の想像とかけ離れた壮絶な現場に絶句したという。

 だが、実際はその壮絶な現実を映像に入れることもなく、「明日から頑張りましょう」「がんばろう神戸」というスローガンの下で番組は“希望”を感じさせるだけの構成になったという。後ろめたさを抱えたまま数年を過ごしていくうちに、東日本大震災が発生。「石井(光太)さんのルポルタージュに出会い、映画化を決意したんです」。

 君塚監督の心を動かすほどのルポルタージュを書いた石井光太の被災地への思いも熱い。震災から2年目となった今、石井は「復興、前に進む、忘却するといういろいろな言葉があります。中には、忘れちゃいけないという人もいます。だけど、僕は忘れてもいいと思うんです。これから生きる人たちが、津波から目をそらして生きることは仕方がないことだと思うんです。でも、知るためのきっかけはなければいけない。作り手というのはそのきっかけを残すのが仕事ですから」と震災を描いた作品を残していくことの大切さを語った。

 それぞれがそれぞれの被災地への思いを胸に作り上げた本作。被災地で起きた未曽有の悲劇ではなく、そこに生きた人間の温かさという本当の「真実」を見つめ直すことができるのではないだろうか? (編集部・森田真帆)

映画『遺体 明日への十日間』は公開中

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