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ミヒャエル・ハネケ作品をほうふつさせる話題の映画『サイモン・キラー』とは?

ミヒャエル・ハネケ作品をほうふつさせる話題の映画『サイモン・キラー』とは?
アントニオ・カンポス監督(左)、ブラディ・コーベット(右)

 去年のサンダンス映画祭で話題になった新作『サイモン・キラー(原題) / Simon Killer』について、主演ブラディ・コーベットとアントニオ・カンポス監督が語った。

 同作は、恋人と別れたばかりのサイモン(ブラディ・コーベット)は、パリに住む従兄弟のカーロが旅行に出かけている1週間だけ、彼の自宅に滞在する予定だったが、現地で売春婦のビクトリア(マティ・ディオプ)と出会い惹(ひ)かれ始め、滞在を延長して彼女の家に転がり込むが、徐々に彼の秘めていた本性と暗い過去が表面に現れるというサスペンスドラマ作品。監督は、映画『アフタースクール(原題) / Afterschool』(日本未公開)で注目を浴びた若手監督アントニオ・カンポスがメガホンを取っている。

 本作の脚本は、アントニオ監督と主演二人のブラディとマティが共同執筆しているが、ミヒャエル・ハネケ監督の映画『隠された記憶』をほうふつさせる。「映画愛好家である僕らが、ミヒャエル・ハネケを世界中の監督の中でもトップレベルの監督と評価しないことはあり得ない。僕は映画『ファニーゲーム U.S.A.』で彼とタッグを組む前から彼のファンだった。彼の映画はカメラがキャラクターなんだ。当然、彼の撮影手法は過去にも使用されていたことはあるが、彼は同じ撮影手法を現代的にアレンジしていると思う。彼は観客にカメラを意識させ、さらにその体験を通して巧みに(キャラクターの)内面を感じさせてくれるんだ」とブラディが語る通り、本作ではそんなカメラを意識させる手法がかなり含まれている。

 主人公サイモンはヒーローではなく、さらに女性が嫌うような点が多いことについて「もちろん、サイモンをより共感が持てるキャラクターにするか、しないかは僕らの選択だった。だが、あえて僕らが女性が嫌うような点を含めたのは、観客の反応を意識せずに自分たちに深い意味合いをもたらすキャラクターを作り上げたかったからで、その結果、逆に僕らが予想していた以上に、サイモンに共感を持つ人々や、キャラクターに信ぴょう性を感じる人々がでてきたんだ」と意外な反応をもたらしたようだ。

 冒頭で傷心するサイモンから、過去に性格上で問題を抱えていたサイモンを演じるうえで「僕とアントニオは事前に話し合って、映画的にサイモンをどんなキャラクターにするか模索していった。僕の観点では、サイモンは自分のしていることに動機があるわけではなく、その瞬間と瞬間で生きているため、過去に起きていたことに縛られていないんだ。ただ、映画内の最後の20分間で、(これまでしてきたことに対して)混乱させられることになる。でも俳優としては、それまでの(最後の20分間までの)シーンではほとんど本能的なビートで演じることができたため、僕にとっては演じやすかったよ」とブラディは明かした。

 映画は鑑賞した後、まるでミヒャエル・ハネケ作品のように全く爽快感がなく、いつの間にか人間の心理に脅威を感じさせる作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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