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いかだで8,000キロを航海、アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品『コン・ティキ』とは?

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(左から)ヨアヒム・ローニング監督、主演ポール・スヴェーレ・ハーゲン、エスペン・サンドベリ監督、脚本家ペッター・スカブラン、オラヴ・ヘイエルダール
(左から)ヨアヒム・ローニング監督、主演ポール・スヴェーレ・ハーゲン、エスペン・サンドベリ監督、脚本家ペッター・スカブラン、オラヴ・ヘイエルダール

 今年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた話題のノルウェー映画『コン・ティキ』について、ヨアヒム・ローニングエスペン・サンドベリ監督、主演俳優ポール・スヴェーレ・ハーゲン、脚本家ペッター・スカブラン、そしてノルウェーの人類学者トール・ヘイエルダールの孫、オラヴ・ヘイエルダールが語った。

映画『コン・ティキ』場面写真

 同作は、1947年、ポリネシアのファッツヒバ島で妻と現地民と暮らしていたノルウェーの人類学者トール・ヘイエルダール(ポール・スヴェレ・ハーゲン)は、「ポリネシア人の祖先は、南米から海を渡ってきた」という学説を発表するが、信じてもらえなかったことで、自説を証明するために、1,500年前に同じ材料と手法でペルー人が渡ってきたとされるいかだで、8,000キロもの太平洋横断を仲間5人と共に挑戦した実話をもとに描いた感動作品。

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 まず驚かされたのは、この無謀とも思える、いかだによる8,000キロもの航海に挑戦したとき、トール・ヘイエルダールは全く泳ぐことができなかったことだ。「彼はこの航海を終えてからようやく泳げるようになったが、決して泳ぎは上手くならなかった。彼は、子どもの頃に2、3度溺れるような体験をしたことがトラウマとなり、泳ぐことができなかったそうだ」とトール・ヘイエルダールの孫、オラヴが明かし、さらに主演俳優のポール・スヴェーレ・ハーゲンは「僕はこの映画のためにオラヴの父親と話した際に、彼は父親トールは命知らずでもスリルシーカーでもなく、あくまで『ポリネシア人の祖先は、南米から海を渡ってきた』という学説を信じていただけなんだ」と語った。

 トール・ヘイエルダールについて脚本家ペッター・スカブランは「僕は、幸運なことに2002年にトールが亡くなるまで、彼の話を聞きながら脚本を書いていたんだ。まず、トールの人生の映画化権を製作者ジェレミー・トーマスが1996年に獲得したが、僕が参加するまで何人かの脚本家たちが執筆を試みたが駄目で、スカンジナビア出身の英語のできる脚本家はどうかということで僕に白羽の矢が立ったんだ。ただトールが僕を受け入れてくれたのは、僕がヨットに乗ることができたからだと思う。当初の脚本は、この3か月の航海だけに焦点を当てるつもりだったが、トールが前妻イヴォンと別れたことに後悔の念を抱いていることを感じた僕は、彼の前妻を含めた10年の彼の動向を描くことにした」と明かした。ちなみに、トールが執筆した本「The Kon-Tiki Expedition: By Raft Across the South」は、およそ5,000万部売れ、多くの国で翻訳されている。

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 ノルウェーの作品であるが英語で製作された理由は「実は僕らはノルウェー語と英語で同時撮影を行っていたんだ。その理由には、製作費の問題があった。なぜなら本作は最も製作費の高かったノルウェー作品だったからで(製作費1,660万ドル=約14億9,400万円 1ドル90円換算)、8か国、24の異なった会社から製作資金を捻出しているんだ。さらにトール・ヘイエルダール自身がこの映画を英語で製作してほしいと語っていたからでもある」と共同監督ヨアヒム・ローニングが話してくれた。

 最後に、本作はフィリップ・ノイスジャン=ジャック・アノー監督も挑戦したが映画化できなかったが、ヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリ監督は見事に、人類学者で冒険家、そして自己宣伝にも長けていたトール・ヘイエルダールの精神を映画化している。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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