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日本映画の現状…ベストセラー以外の小説を映画化するまでの困難な道のり明かす

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『みなさん、さようなら』の中村義洋監督と『のぼうの城』の樋口真嗣監督
『みなさん、さようなら』の中村義洋監督と『のぼうの城』の樋口真嗣監督 - 写真:中山治美

 第15回ウディネ・ファーイースト映画祭に参加していた映画『のぼうの城』の樋口真嗣監督と『みなさん、さようなら』の中村義洋監督がこのほど、揃ってトークセッションを行った。司会を日本在住の米映画評論家マーク・シリングが務め、話題はもっぱら日本映画の現状について語られた。

 まず昨今の日本映画と言えば原作ありきで、図らずしも両作もこれに当てはまる。もっとも『のぼうの城』の基となった、和田竜の脚本「忍ぶの城」は日本映画製作者連盟主催の城戸賞受賞作で、それをあえて小説にした経緯がある。樋口監督は「城戸賞受賞作が映画化された例は少なく、賞を設けながら映画会社は無責任じゃないかと思った」と、脚本に着目したことを説明した。

 さらに「日本では有名な小説やドラマにお金を出す傾向があるが、無名の新人が書いたものは厳しく、何年も企画が動かなかった。そこでプロデューサーが出したアイデアが、脚本家に小説を書かせてベストセラーにすること。目論み通り、投資家が望むベストセラーになりましたが、皮肉なことにその脚本家は二度と脚本を書くことはなくなりました」。

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 続いて中村監督も「企画を出す際プロデューサーは面白いと言うが、彼らが会社に戻って判子を押すのは年配者。そういう方たちに納得してもらえるのが有名人の起用やベストセラー小説なんです」と語り、海外の映画祭とあって2人とも本音が炸裂した。

 また、『みなさん、さようなら』は主演の濱田岳が12歳から30歳まで演じているが、撮影期間はわずか21日間だと明かされると記者たちから驚きの声が上がった。中村監督は「今回の映画祭に来ても日本人は集合場所に5分前には来る。予算や時間を守ることを楽しめる映画人がいる国じゃないかと思います」と説明して、笑いを誘った。

 樋口監督と中村監督が会見で同席するのは初めて。だが、共に茨城県出身で、容貌も似ていることから親近感があったようだ。互いの仕事ぶりについても中村監督が「僕はVFXやCGの作業が面倒なので、それをコツコツ行う樋口監督を尊敬しています」と語れば、樋口監督も「私が知っている俳優が今まで見せたこともないような一面を中村監督の作品で見せており、それをいつもスゴイなと思ってます」と語り、ウディネでの交流を楽しんでいた。(取材・文:中山治美)
 
映画『のうぼの城』はDVD&Blu-rayが発売中。同『みなさん、さようなら』は5月11日より広島シネマモードと三重・新富座、5月18日より神奈川・川崎アートセンターにて公開

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