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「なぜ東電は責任をとらないのか?」「なぜいまだに原発が存在するのか?」イタリア人が素朴なギモンを投げかけ

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イタリアで開催された「福島から2年」と題された福島第一原子力発電所事故の現場を語り合うシンポジウム
イタリアで開催された「福島から2年」と題された福島第一原子力発電所事故の現場を語り合うシンポジウム - 写真:中山治美

 イタリアで開催された第15回ウディネ・ファーイースト映画祭で、「福島から2年」と題された福島第一原子力発電所事故の現場を語り合うシンポジウムが開催された。

 1986年のチェルノブイリ原発で農作物が被害を受けたイタリアでは原発への関心が高く、2011年に原発再開の是非を問う国民投票が行われた際には9割がノーを突き付けたことも記憶に新しい。この日も、夜8時半からと遅めの時間にもかかわらず約30人が会場に駆けつけ、現地在住で絵本「ヒロシマのピカ」などのイタリア語翻訳なども手掛けた通訳・翻訳家の山田真喜子さんの解説を熱心に聞いた。

 中には、山田さんが用意した放射線量等分布マップや、先ごろ行われた使用済み燃料を仮設保管設備へ移送した際の作業の流れを示した図をカメラに収める者もいた。そして、ひと通り現状報告を聞くと、「20キロ圏内から避難した人々の生活は?」「子どもたちへの影響は?」と質問が相次いだ。もっとも議論の的となったのは、共に男子学生から出た「なぜ東電は責任をとらないのか?」と「日本人は自然を愛する国民だと聞いているが、なぜいまだに原発が存在するのか?」の2点だった。

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 山田さんは、福島事故後、東電の清水正孝社長が引責辞任しているが、日本企業には不祥事を起こしてもトップの首を据え変えれば責任をとったとする悪しき風習があること。また、新しい風を期待して選ばれた民主党が事故収束対応の不手際から信頼が崩れ、先の衆議院議員総選挙で自民党が返り咲き。その自民党が原発推進派であることから事態が好転しないことを説明した。すると、学生らが「日本もイタリアと同じ、保守的なんだね……」とポツリ。

 深刻な財政危機にあるイタリアはこのほど、EU主導の緊縮財政に国民が不満を訴えて総選挙となった。そこで市民運動「5つ星運動」が躍進するも、結局は既成政党である民主党(中道左派)と自由の国民(中道右派)の大連立が成立してしまった。そして、その自由の国民を率いるベルルスコーニ前首相は、スキャンダルまみれでもいまだ絶大な影響力を持つ。図らずしも似た社会情勢が、福島の今を理解する手掛かりとなってしまった。(取材・文:中山治美)

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