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『プレシャス』の監督が明かす、ホワイトハウスに34年間仕えた男を描いた映画『大統領の執事の涙』とは?

『プレシャス』の監督が明かす、ホワイトハウスに34年間仕えた男を描いた映画『大統領の執事の涙』とは?
ホワイトハウスに34年間仕えた男の生涯とは? - リー・ダニエルズ監督

 映画『チョコレート』を製作し、映画『プレシャス』ではアカデミー賞監督賞にもノミネートされたリー・ダニエルズ監督が、新作『大統領の執事の涙』について語った。

 同作は、ホテル勤めの黒人セシル(フォレスト・ウィテカー)が、ホワイトハウスの配膳係として働く機会を得て、その後仕事ぶりが認められ執事長になるまでの過程と、7人もの大統領に仕えていた当時の社会の変化を描いた話題作。34年間ホワイトハウスで歴代大統領に仕えた執事ユージン・アレンの生涯を映画化している。

 今作が企画された経緯について、「映画『プリティ・ウーマン』や『スパイダーマン』シリーズを手掛けた故ローラ・ジスキンから生まれたんだ。彼女は、ウィル・ヘイグッドがワシントン・ポスト紙に執筆した記事『A Butler Well Served By This Election』の映画化の著作権を得て、それを脚本家ダニー・ストロングが素晴らしい脚本に仕上げてくれた」ときっかけを明かした。

 黒人公民権運動を描くうえで、製作中に個人的な観点の変化はあったのか。「僕は、この黒人公民権運動を親子(セシルと息子ルイス)の関係を通して描きたかった。親子の愛情関係は人種を超越していると思っていたからだ。だが撮影中に、息子ルイスが乗っていたバスが、KKKに襲われ、つばを吐かれたり、ののしられたり、最終的にはバスを揺らされて、火がつけられるシーンがある。そのシーンで僕が『カット!』と叫んだ際に、俳優の誰もが演技をやめずにいた。そのとき初めて、当時KKKに襲われながらも、黒人公民権運動を闘った黒人たちの気持ちが理解でき、この映画が単なる親子関係を描いた作品ではないことにも気づかされ涙したんだ」と思い入れの強い作品になったようだ。

 息子ルイスは、ブラックパンサー党の党員であることについて「僕にはブラックパンサー党のメンバーだった叔父が居た。ルイスは、そんな僕の叔父のイメージから、姿、格好が決められた。ブラックパンサー党のメンバーを過去にインタビューした記者は居ると思うが、僕には共にその時代を生きた叔父が居た。僕は、そんな叔父を今でも誇りに思っている」と急進的ではあったが、黒人解放闘争を展開したブラックパンサー党についても触れた。

 映画は、7人の大統領に仕えた執事を描くうえで、アメリカ社会の人種差別という一貫したテーマを描き、まとまりのある完成度の高い作品になっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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