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ダンボール箱をかぶるのは日本の風習?海外の観客からの珍問に坂本あゆみ監督が回答【第64回ベルリン国際映画祭】

ダンボール箱をかぶるのは日本の風習?海外の観客からの珍問に坂本あゆみ監督が回答
ベルリンの観客から温かな拍手を送られた松岡恵望子、梅野渚、坂本あゆみ監督 - Photo:Yukari Yamaguchi

 第64回ベルリン国際映画祭で映画『FORMA』のインターナショナルプレミアが開催され、坂本あゆみ監督、主演の松岡恵望子と梅野渚が登壇した。本作は、二人の女性の関係が少しずつ壊れていくさまを描いたサスペンスだ。

 坂本監督は製作の動機について「わたしたちが何気なく見ているニュースでは、毎日誰かが死んで、いろいろなことが起こっています。でも、それは簡単に流されてしまって、一つ一つにドラマやいろいろな思いがあるのではとすごく悲しくて、それを取り上げたいと思いました」と説明。「あとは、物事を多面的に捉える映画を作りたいと考えました」と続けた。

 オフィスで一人、ダンボール箱をかぶる綾子(梅野)……という不思議な冒頭シーンについて「箱をかぶるのは日本の風習か?」という質問が出ると、海外でのお披露目に緊張気味だった一同の顔もほころんだ。坂本監督は「実は、意味があるものではありません。例えば、電話をしながらペンでグリグリ書くなど、説明できない行動の一つです。でも、綾子の心の闇がああいうふうに表現されたのです。あと、後半のダンボール箱の置かれた部屋のシーンと結び付けました。後付けですが、『箱男』という小説も書いている安部公房へのオマージュでもあります」と印象的なシーンを解説した後に「日本の風習ではないです」と付け足し、笑いをさそった。

 一方で「耐え難かったのはコミュニケーションがないことです。父と娘がほとんどしゃべらず、二人の女性の間でも会話がない。これは日本的なことなのでしょうか?」という海外ならではの鋭い質問も。坂本監督は「あらためてベルリンで観て、言いづらいことがなかなか言えないようなところは、日本人独特かと思いました」と答え、映画としては「会話が重要ではなく、しゃべらない中でもお互いに思いや感情は抱えていると思います。会話以外の静かな部分を大切に撮影しました」と意図を説明した。

 表面的な会話しかせず、お互いの本心を明かさないことが、後半の大ドンデン返しを可能にした映画でもあり、日本ならではのストーリー展開ともいえそうだ。そのほか24分間の息詰まる長回しシーンはセリフがアドリブだったこと、監督自身も出演していたシーンなども明かされ、日本の大型新人監督作をよリ深く理解したベルリンの観客からの温かい拍手で、プレミアは締めくくられた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

第64回ベルリン国際映画祭は16日まで開催


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