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アメリカの貧困層を1年半撮影 サンダンス映画祭審査員賞作品

アメリカの貧困層を1年半撮影 サンダンス映画祭審査員賞作品
トレイシー・ドロス・トレイゴス監督

 今年のサンダンス映画祭でドキュメンタリー部門審査員賞を受賞した話題のドキュメンタリー映画『リッチ・ヒル(原題) / Rich Hill』について、トレイシー・ドロス・トレイゴスが語った。

 本作は、かつて鉱山の町として栄えたミズーリ州リッチヒルは、今や多くの人がこの地を離れ、店もほとんど閉店する厳しい環境にあったが、そこで暮らす3人の少年と彼らの家族に焦点を当て、環境がもたらす苦しい現状を浮き彫りにしながらも、日々の生活をたくましく生きる姿を捉えた秀作。3人の少年は、ミュージシャンの夢を追う父親を持つ13歳のアンドリュー、母親が刑務所に入り、祖母と暮らす15歳のハーリー、中国で美術の先生になる夢を持つ12歳のアパッチー。トレイシーは、従兄弟アンドリュー・ドロス・パレルモ監督と共同でメガホンを取った。

 リッチヒルという地を選んだ理由は「わたしの父とアンドリューの母親の出身地で、夏にはこの地で暮らす祖父母に会いに来ていたから、土地勘も祖父母の隣人にもなじみがあったの。ただ、この3人の少年は全く知らなかった」と答え、さらに少年たちの家族について「彼らの家族は歓迎してくれたわ。厳しい生活の中、快く撮影を引き受けてくれた。その理由には、貧困層の多いアメリカの土地を国内の他の人々にも知ってほしいという意図があったの」と明かした。

 映画内では、リッチヒルの景色映像を交錯させながら、3人の少年の成長過程がつづられる。「景色を通して彼らがこの地に根ざしていることを示したかった。彼らが乗り越えていく困難は、リッチヒル特有のものではなく、アメリカの多くの土地が抱える問題なの。そんな問題を抱える彼らの心の内が今作では吐露されていて、あえてアメリカの貧困層に詳しい経済学者や専門家は出演させず、彼ら3人の心情をつづったの」と、観客を惹き付ける演出を施したことを語った。

 時間を掛けた撮影について「1年半撮影したの。でも撮影クルーは監督のわれわれと音声の小さなクルーで、彼らも違和感を見せずに撮影に応じて、すぐに信頼を得られた」と答えた。また、彼らに生活面で忠告はしたのか、との質問には「通常ドキュメンタリーで撮影対象者には忠告はしないけれど、ハーリーが学校を停学した際に、感情移入して忠告したわ」と感傷的になったこともあったようだ。

 映画は、生活が困難な厳しい環境で暮らす人々を、外見で見下すことなく真摯(しんし)につづった力作。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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