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アメリカ話題の独立系作品、究極の怠け者がパラノイアに?

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期待の新人監督ジョエル・ポトリカス
期待の新人監督ジョエル・ポトリカス

 映画『エイプ(原題)/ Ape』でロカルノ国際映画祭の新人監督賞を受賞した若手期待のジョエル・ポトリカス監督が、新作『バザード(原題)/ Buzzard』について語った。

 本作は、銀行の住宅ローン部門で派遣社員として働く怠け者のマーティ(ジョシュア・バージ)が、自身の働く会社相手に小さな詐欺を働き、バレるのを恐れて友人ドレク(ジョエル・ポトリカス)の住む居住用の地下室やデトロイトの犯罪地域に逃げ込むものの、徐々に精神的に異常をきたしていくというドラマ。会社運営の仕組みをコメディーとして痛烈に否定しながら、ダークなドラマトーンでパラノイアもつづっている。

 ジョエル監督は、本作の主人公のように、銀行の住宅ローン部門で働いていたそうだ。「約1年間、銀行の住宅ローン部門の派遣社員だった。でも、そこでは会社の事務用品を発注するだけで、わずかな責任しかもたされていなかった。他のスタッフも、僕がどんな仕事をしているのかもわかっていなかった。あるときは、2、3時間休憩し、帰ってきても誰も僕を疑わず、仮にどこに行っていたか聞かれても、事務用品のデリバリーをしてきたとうそを言っていたこともあった」と明かした。若い頃は映画内のマーティとかなり似ていたらしい。

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 マーティ役のジョシュアとは、これまで3度タッグを組んでいる。「僕は、ミュージシャンだったジョシュアのバンドのファンで、彼はステージではトム・ウェイツのような独特な歌い方をし、動きはマイケル・ジャクソンに似ていた。そんなジョシュアを映画で起用できたら面白いと思った。彼は幸運にも演技ができ、共にミシガンに住み、映画の概要を十分説明しなくても把握してくれたことで、彼と仕事をする機会が増えた」と語った。スティーヴ・ブシェミのような個性的な顔のジョシュアは、新作『ザ・レヴェナント(原題)/ The Revenant』ではレオナルド・ディカプリオと共演している。

 映画『タクシードライバー』に影響を受けたそうで、「あの映画で、デ・ニーロ演じるトラビスは、具体的に何に怒っているのかよくわからないが、彼が感情的に爆発するのはよくわかる。あの作品は、トラビスが自分で作った武器が映画内にあったが、今作ではマーティがゲーム用のグローブを改造して装着している箇所が似ているんだ」と明かした。

 映画には、究極の怠け者の男がささいな詐欺をしたことで泥沼にはまっていく過程が克明に描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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