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名画プレイバック

連載第4回 『マルタの鷹』(1941年)【名画プレイバック】(1/2)

連載第4回 『マルタの鷹』(1941年)
『マルタの鷹』(1941年)当時のポスター - Warner Bros. Pictures / Photofest / Getty Images

 ミステリーにおけるハードボイルドといえば、トレンチコートに中折れ帽、煙草の紫煙をくゆらせるタフガイをイメージする人が多いのではないだろうか。これは往年の銀幕スター、ハンフリー・ボガートが演じた役から生まれた“ボガート・スタイル”と呼ばれているもの。このビジュアル的なイメージを決定的にしたのが、アメリカのミステリー作家ダシール・ハメットがハードボイルド派を確立した同名長編小説を、ジョン・ヒューストン監督が原作にほぼ忠実に映画化した『マルタの鷹』である。(今祥枝)

 舞台はサンフランシスコ。私立探偵サム・スペードの事務所に、困ったようすの美女が依頼にやってくる。フロイド・サーズビーという良からぬ男と家出した妹を連れ戻したいというのだ。スペードの相棒マイルズ・アーチャーがくだんの男を尾行するが、サーズビーとアーチャーは別の場所で死体で発見される。警察から、相棒の敵討ちとしてサーズビーの殺害容疑をかけられるスペード。

 そんな中、事務所にジョエル・カイロと名乗る男が現れ、何かを探ろうとしているらしい。スペードは依頼人の美女と再会し、彼女の本名がブリジット・オショーネシーであり、カイロとも関係があることを知る。二人を引き合わせたスペードは、鳥の彫像が事件の核心にあることを突き止め、彼らが恐れているらしい“大男”ことカスパー・ガットマンと接触することに……。

 やがて、映画の冒頭で説明がなされる「マルタの鷹をめぐる伝説」と鳥の彫像が符合したとき、莫大な価値を持つ彫像の争奪戦は無駄なくテンポよくクライマックスへとなだれ込む。

 ダンディでニヒル、ぶっきらぼうな語り口にもユーモアはたっぷり。たとえ敵に殴られ窮地に陥ったとしても、軽口をたたく余裕は忘れず、女には惚れっぽくも非情になれる。器用に煙草を巻きながら人差し指と親指でつまんで、口の端にくわえる仕草がトレードマークのサム・スペードのキャラクターは、まさにハードボイルドの主人公の典型。しかし、そのイメージを世に広めた最大の理由は、ボギーの愛称で親しまれた主演のハンフリー・ボガートの、唯一無二のハマりぶりにあるだろう。今時では珍しいほどの男くささをぷんぷんにおわせたボガートは、男の中の男といった感じで惚れ惚れ。時代の変化もあるだろうが、こういうタイプのスターは今はいないなあと思う。

 大変な人気を得た本作で、男のロマンと哀愁を体現するボガートが作り上げたアイコニックなスタイルは、1940年代~1950年代を代表する象徴的存在として語られることも多い。ピーター・フォーク主演の『名探偵再登場』(1978年)ほかパロディー作品が多いことからも、ボガートのイメージがいかに強烈で愛されているかがよくわかる。


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