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孤独に向き合う実母を4年間追った…「母の日」花束に観客から大きな拍手

孤独に向き合う実母を4年間追った…「母の日」花束に観客から大きな拍手
宮園マリ子さん、坂口すちえさん、坂口香津美監督

 当時78歳の母親に映画監督である息子がカメラを向け、老いと最愛の人を亡くした孤独に向き合って生きる女性の姿を、4年間追い続けたドキュメンタリー『抱擁』の舞台あいさつが9日、東京、シアター・イメージフォーラムで行われた。この日のために、主人公で監督の実母・坂口すちえさんと、すちえさんの妹の宮園マリ子さんが、鹿児島県種子島から上京して現在の生活ぶりを語り、坂口香津美監督が一日早い「母の日」の花束を2人に手渡すと、客席からも大きな拍手が起こった。

 映画『ネムリユスリカ』『夏の祈り』などで社会問題を見つめてきた坂口監督。今作では、愛娘と夫を相次いで亡くした絶望と、認知症の併発で精神的な危機に陥ったすちえさんが、妹・マリ子さんの勧めで種子島に38年ぶりに帰郷し、マリ子さんと二人三脚で再び生きる希望を取り戻していく姿を、ユーモアを交えながら描く。

 壇上で「監督」というよりも、愛する息子から花束を贈られたすちえさんは「坂口すちえです」と言い、客席に笑顔でお辞儀。続いて監督から「僕の第2の母親です。助演女優賞だという人もいる」と紹介されたマリ子さんは「昨日、姉の娘の墓参りに行ってきました。6年前、姉を兄妹や親戚の住む種子島に連れて帰ったとき、小さくなった姉の背中にびっくりして、そのときからわたしの母がしてくれたことを、わたしが姉にしなければと、種子島の魚と野菜をたっぷり入れた味噌汁を毎日飲ませました。休みの日には、弁当を持って海に行き、浜辺に座って昔を思い出し、二人で楽しく泣いたり笑ったりしています」と島での穏やかな暮らしぶりを語った。

 坂口監督は「母は7人兄妹の長女で、叔母(マリ子さん)は次女。叔母は小さい頃、体が弱く、わたしの母に背負われて成長したと今も感じていて、母が84歳、叔母が79歳になった今再びめぐり合い、今度は母が叔母の背中に背負われることになりました。抱きしめるということは、一人ではできず、抱きしめると同時に抱きしめられているということがあると思います。その一つの姿を(この映画に)記録しました」と語りつつ、「6年前はこういうことが起こるとは、夢にも思わなかったんです。なんで母がこんなに元気になったのか、本当にわからないんですよ」とすっかり元気になったすちえさんに目を細めていた。(取材・岸田智)

映画『抱擁』はシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中


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