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河瀬直美監督7作品目のカンヌ出品作で、ハンセン病を通して問う生きる意味とは…?

河瀬直美監督7作品目のカンヌ出品作で、ハンセン病を通して問う生きる意味とは…?
河瀬直美監督、樹木希林、永瀬正敏 - 写真:平岩亨

 小さなどら焼き屋を舞台に、社会から隔離されて生きざるを得なかった二人の交流を描く映画『あん』に出演した樹木希林と永瀬正敏が、河瀬直美監督と共にその思いを語った。本作は、第68回カンヌ国際映画祭のある視点部門にオープニング作品として正式出品され、河瀬監督は、今回で7作品目のカンヌ出品。日本人としては、今村昌平監督と並び史上最多となった。

 以前より河瀬監督と親交のあったドリアン助川の同名小説を映画化した本作で、樹木は粒あん作りの名手である謎の老女・徳江を、永瀬は彼女からあん作りを習うどら焼き屋のワケあり店長・千太郎を、それぞれ演じている。

 絶品のあんを作る徳江はしかし、その手に不自由を抱えていた。というのも徳江にはハンセン病を患った過去があり、それによって人生の多くを隔離された療養所の中で過ごさなければならなかったためだ。撮影のために都内に実在する療養所を訪れた樹木は「自分にはあまりにも無知なところがいっぱいあったなというのが、こういう映画に出てみると思います。知らないで、ただ世の中を生きていたなという、そういうちょっと恥みたいなものは感じましたね」という。

 一方で千太郎にもまた人には言えない過去があり、二人は、狭いどら焼き屋の店内で、夜明けから丁寧に粒あんを作りながら心を通わせていく。永瀬は「河瀬組ではいつカメラが回って撮られているのかわからないんですけど、希林さんがずっと徳江さんでいてくれるので、徳江さんを見ているだけでいろんな感情が芽生えてくるんです」と、俳優として樹木と現場を共にする喜びを口にした。

 孤独を抱えた二人が出会い、関わり合った先には何が生まれるのか。「ハンセン病の患者さんの存在について知らないふり、見ないふりをすることが一番の罪かもしれない。無関心ではなくて関わっていくこと、相互の関わり合いから生まれる関係性や物事を描けたらいいなと思っていました」と河瀬監督。誰もが誰かから何かを受け取っている、それが生きる意味につながるということを肌で感じられる一作となっている。(取材・文:那須千里)

映画『あん』は5月30日より全国公開


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