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カンヌ監督賞『黒衣の刺客』忽那出演シーン、女性スタッフの「妻夫木に妻が居るなんてひどい」の声でカット

カンヌ監督賞『黒衣の刺客』忽那出演シーン、女性スタッフの「妻夫木に妻が居るなんてひどい」の声でカット
「そうかね~」と時折日本語であいづちを打つホウ・シャオシェン監督

 第68回カンヌ国際映画祭で監督賞に輝いたホウ・シャオシェン監督の新作『黒衣の刺客』から、窮地に追い込まれたヒロインを助ける日本人青年(妻夫木聡)の日本に居る妻役を務めた忽那汐里のシーンがカットされたのは、編集の女性スタッフから「青年に奥さんが居るなんて、インニャン(スー・チー演じる主人公の女刺客)がかわいそう」という声が上がったことが一因になっていると来日したホウ監督が明かした。

 本作は、唐代の中国を舞台に、暗殺者として育て上げられた孤独な女刺客の悲しい宿命を描いた武侠映画。忽那は妻夫木演じる遣唐使船の青年が日本に居たときのことを回想するシーンに出演しており、同シーンは日本公開版ではホウ監督たっての希望で戻されている。青年を日本で待つ人が居ることがわかり、インニャンの孤独が一層深まるシーンだ。

 「うちの編集の女の子が、インニャンがかわいそうだ、かわいそうだ、と言っていて(笑)。それもそうだなと」とインターナショナル版ではカットすることにした経緯に触れたホウ監督は、「そんな状況にもかかわらず彼女は青年を送っていこうとしているわけです。話の深みとして、やはりそういう背景があってもいいんじゃないかと思ったので戻しました」と満足げな笑顔を見せた。

 武侠映画だが、アクションはメインではなく、静かで美しいストーリーの中になじむように配置されている。「最初からそういうふうにしようと思っていました。アクションのリズム感は編集で決めるものなので、そういう意味でもアクションシーンはあまり残っていないと思います。正直な話、アクション映画として撮っていないんです。アクション映画っていうのはとどめを刺すまで戦う姿を映すものですが、本作はインニャンがどんな状況にある子なのか、というのを撮るアクションでしたから」

 さまざまなタイプの監督が居るが、撮影が全て終わってから素材として全部を観て、それから集中して編集をするというホウ監督。「今回は素材が多すぎたので大変でしたが、残ったものはシンプルです。インニャンの子供時代なども撮りましたが、最終的には全然残さなかったんです」と明かし、妻夫木が中国語を話すシーンも「そんなに説明しなくてもわかると判断しました。セリフにしすぎると想像できなくなるからです」とカット。そうして完成した映画はホウ監督ならではの美しさに満ちあふれている。

 「自分のイメージがあって、それに近づけるというのはまずないです。脚本を自分で書く際にはもちろんイメージしているものがあるのですが、現場で目の前で観たものというのは絶対に脚本通りではありません。そこでまた監督としての判断をしなくてはいけなくて、撮影が終わった後にはそれがちゃんと撮れているかという問題もあり、編集のときにまた監督がそれを判断していく……。3段階、監督として判断していくんです」と世界から称賛された自身の監督論について語っていた。(編集部・市川遥)

映画『黒衣の刺客』は9月12日より新宿ピカデリーほか全国公開


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