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なぜそこに銃が…認知症患者のスローペースな復讐劇

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アトム・エゴヤン監督
アトム・エゴヤン監督

 映画『スウィート ヒアアフター』『クロエ』などを手掛けたカナダの鬼才アトム・エゴヤン監督が、新作『リメンバー(原題) / Remember』について、2月2日(現地時間)にニューヨークで行われたAOL主催のイベントで語った。

アトム・エゴヤン監督作『白い沈黙』フォトギャラリー

 物語は、妻を亡くした老人ゼヴ(クリストファー・プラマー)は認知症を患いながら、アウシュビッツの生存者の仲間マックス(マーティン・ランドー)の手紙を基に、かつて自身の家族を殺したアウシュビッツの監視人に復讐を図るというもの。

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 通常とは異なる復讐劇だ。「復讐劇であるが、老人ホームで知り合った2人が計画し、アメリカ国内を横断して家族を殺した男を捕らえようするため、通常よりもスローペースな復讐劇だ。ただ、徐々に緊張感で引き締まり、予期せぬ展開が巻き起こる。クリストファー演じるゼヴは初期の認知症を患っていて、しっかり状況を把握できていないが、マックスが全ての計画を立て、(それを実行するために)手紙をゼヴに渡し、ゼヴはそれに従うことになる。要するにゼヴは、ホテルで横に銃がある状況下で朝目覚めても、彼はなぜそこに銃があるか最初はわからないが、マックスからの手紙を読んで、再びその男を追いかけることになる」と説明した。

 製作時期が適していたそうだ。「アウシュビッツを経験した生存者たちの年齢は85~90歳くらいで、もしあと5年たっていたら、今作の80歳代の男が復讐をするというストーリーは成立しない。さらに今作はフラッシュバックのシーンがなく、すべて現代の設定で描かれていて、観客はアウシュビッツの犠牲者と加害者(監視人)のみを知ることになる」と明かした。

 映画手法について「事前に明確なビジョンを持っていないが、それぞれの作品で自分のアプローチを確立してきた。いかに、殺人ミステリーをネオ・ノワール(フィルム・ノワールの要素を持ちながらも、現代的なテーマで描いたもの)で描くかとか、どのようにエロティック・スリラーを描こうかとか、今作ならば幻想的な復讐劇にしようかとか、いつも違った形態に挑戦したい。さらに観客が目くじらを立てるような題材に取り組むことも恐れてはいない」と答えた。作品ごとに確かな足跡を残してきた彼らしい発言だった。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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