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行定勲監督、『ピンクとグレー』に「やっちまった感」

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スペシャルトークショーを行った行定勲監督(左)と岩井俊二監督(右)
スペシャルトークショーを行った行定勲監督(左)と岩井俊二監督(右)

 大ヒット上映中の映画『ピンクとグレー』の行定勲監督が11日、都内で行われたスペシャルトークショーに映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の公開が控える岩井俊二監督と共に出席し、「ヒットしたから言えるけど、やっちまった感がある(笑)」と意外な本音を打ち明けた。

行定勲監督、『ピンクとグレー』に「やっちまったな感」 画像ギャラリー

 『ピンクとグレー』は、大人気俳優・白木蓮吾(中島裕翔)の突然の死によりスターの座を手に入れた幼なじみの河田大貴(菅田将暉)が、迷い苦しみながらも蓮吾の死の真相にたどり着くさまを描いたもので、幕開けから62分後に待つ、世界が変わる壮大な“仕掛け”が話題を集めている。

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 行定監督は“仕掛け”について、「リスペクトしている監督が過去に似たような作品を作っていれば安心材料になるけど見当たらなくて。やっちゃいけないのかなと思ったけど、やりたかった」と述懐。また、「ここ数本は時代がやらないことをやるって決めてやってきた」そうだが、「失敗してお客さんが入らなかった」ことがあったとも。そんなこともあり、本作では、まずは若い観客に観てもらうことを念頭に「一見、男女の恋愛を今あるフォーマットで見せておいて、(仕掛けで)真っ白にしたかった」という。それにより「映画は自由でいいんだと新しい扉を開いてもらいたいと思った」と語るが、前例がないだけに「これ、やっちまったな」と思ったとも明かした。

 しかし、岩井監督は「あまりにもよくできたトリックだったのでびっくりしました」と称賛。さらに、「前半戦のテイストを裏切る展開の後半戦にうならされた」そうで、「ヨーロッパ映画にあるようなただれた人間模様」により、「エンドロールに日本人の監督名が出てくるのがふさわしくない。なんとかアントニオーニとかいう名前が出てくる風格。その耽美性を堪能するしかない」と冗舌に賛辞の言葉を贈った。

 そんな二人は実は師弟関係で、行定監督は助監督時代に岩井監督の『Love Letter』(1995)、『スワロウテイル』(1996)に参加している。岩井監督は、行定監督について「一番監督デビューしてほしくない片腕でした」と明かすほど、その実力を買っていた。その岩井監督から本作鑑賞後すぐにメールをもらったという行定監督は「意外と楽しんでもらえたなというのが感じられてうれしかったです」と満足そうに笑った。(取材/錦怜那)

行定勲監督最新映画『ピンクとグレー』は全国公開中
岩井俊二監督最新映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』は3月26日より全国公開

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