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サメ映画はなぜ面白い?ワニ、クマ、ヘビに勝る存在感

サメ映画はなぜ面白い?ワニ、クマ、ヘビに勝る存在感
7月23日より上映中の新作『ロスト・バケーション』ではブレイク・ライヴリーが餌食に!?

 夏の売れ筋商品の定番というとエアコン、アイスクリームなどがすぐさま思い浮かぶが、映画界では納涼を目的としたホラーとともに“サメ映画”の需要が高まるのが常。スティーヴン・スピルバーグ監督の名作『JAWS/ジョーズ』(1975)以来、コンスタントに作られ続けているこのジャンルの魅力を検証してみた。

 サメ映画の基本パターンは極めてシンプル。サーフィンやクルーズに繰り出した若者や海水浴場を訪れた家族連れなどが人食いザメに襲われ、一人また一人と殺されていくのがお決まりのストーリーだ。凶暴化した動物の恐怖を描くアニマル・パニック映画ではワニ、クマ、ヘビの人気も高いが、夏に限るとサメの存在感は他の追随を許さない。

 観る者に爽快感をもたらすほど美しく開放的な海のロケーションが、一瞬にして血に染まり、惨劇の場と化すギャップの大きさがサメ映画の特徴の一つ。サメに片腕を食いちぎられた女性サーファーの物語『ソウル・サーファー』(2010)が実話だったように、実際に人間がサメに襲われる死傷事故が世界中で報告されていることも、生々しい恐怖を呼び起こす要因になっている。

ジョーズ
サメ映画と言えばこれでしょ『JAWS/ジョーズ』(C)Universal Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 しかしサメ映画の歴史を振り返ると、決して傑作&秀作は多くない。このジャンルの先駆けたる『JAWS/ジョーズ』の完成度が並外れて高く、水中からのサメ目線でスリルを煽り、なかなかサメの全貌を見せないスピルバーグの演出が完璧すぎたせいか、その後の作品はどれも出来損ないの二番煎じに思えてしまうのだ。本当に怖いと思わされたのは、ダイビングツアー中にサメだらけの海域に置き去りにされた夫婦の運命を、実録タッチで描いた『オープン・ウォーター』(2004)くらいなもの。むしろ近年は開き直ってリアリティーを無視し、ありえないほどデカかったり、奇形のサメをCGで映像化したC級、Z級のアトラクション・ムービーが多数作られている。

 その点、現在上映中のサメ映画『ロスト・バケーション』は、ハリウッド・メジャーのソニー・ピクチャーズが放つ久々の“本格派”だ。海外ドラマ「ゴシップガール」のセレブ女優ブレイク・ライヴリーが、メキシコのビーチを訪れた医学生のヒロインにふんし、全編セクシーなビキニ姿で巨大なホホジロサメ相手のサバイバルを熱演する。

 “岸はすぐそこ。しかし、たどり着くことはできない”というキャッチコピーの通り、岸からわずか200メートル離れた岩場を舞台にした設定が絶妙。孤立無援の状況のもと、太股に大ケガを負ったヒロインがむやみにサメと闘わず、必死の機転を利かせて粘り強く満潮までのタイムリミットを生き抜くドラマが、とことんリアルなタッチで描かれていく。『エスター』(2009)、『ラン・オールナイト』(2015)のジャウマ・コレット=セラ監督によるサメ映画のツボを押さえたサスペンス描写が秀逸で、頭部に装着する小型アクション・カメラを活用した現代的な演出もきらりと光る。ライヴリーの共演者となる一羽のカモメの“演技”にも驚かずにいられない。

 これぞサメ映画の王道を極めた快作。幸いにも近海でホホジロサメの目撃情報が少ない日本の映画ファンは、“安心して”極限の恐怖を体感してほしい。(高橋諭治)


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