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また小栗旬!マンガ実写主演が続くわけ

数々のコミックキャラクターを演じてきた小栗旬(写真は今年6月に撮影されたもの)
数々のコミックキャラクターを演じてきた小栗旬(写真は今年6月に撮影されたもの)

 先日、週刊少年ジャンプで連載中の空知英秋による人気マンガ「銀魂」が小栗旬主演で実写映画化されることが大きく報道された。これまで数々の映画やドラマで人気マンガのキャラクターを演じてきた小栗は、待機作として巴亮介の人気サスペンスマンガを実写映画化する『ミュージアム』の主演にも抜てきされている。まさに実写化請負人ともいえる小栗、なぜこんなに多くの製作陣から支持されるのだろうか。

【映像】小栗が刑事に!映画『ミュージアム』

 マンガの実写化といっても少女マンガと少年・青年マンガでは難易度が大きく異なる。アニメ「進撃の巨人」などのシリーズ構成を務める脚本家の小林靖子氏も、少年マンガの実写化に対して「チャレンジするのは難易度が高い」と率直な感想を述べていた。それは日常的な設定の中で人物を描く少女マンガに対し、少年・青年マンガは、壮大なスケール設定の作品が多いからだ。最近でいえば『ストロボ・エッジ』や『ヒロイン失格』など学園が舞台の少女マンガに対し、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』シリーズや『テラフォーマーズ』などの青年マンガは、原作の持つ非現実的な世界観を表現するため、撮影や絵作りなども大がかりになっていく。しかしハリウッド映画のように潤沢なバジェットがあるわけでもなく、折り合いをつけるのが難しいのだ。

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 さらに、原作の人気が高ければ高いほどファンの思い入れも強く、実写化へのハードルはより一層高くなる。これまでも人気マンガの実写化が発表されると、期待以上に不安の声が上がりやすいことがその証拠の一つと言えるだろう。実際、「銀魂」実写化の発表時に、原作者の空知氏は、映画公式サイトで同マンガの実写映画化を「泥舟」と表現し、「わざわざ沈む船に乗り込んだ『現代』の『侍』たちの姿を見て、笑うも結構、泣くのも結構」と面白おかしく、鑑賞の心得を指南し話題になった。

  そんな“少年・青年マンガ実写化”に立ちはだかる壁を前に、小栗を主演に迎えた企画が続くのはなぜなのか。一つには興行成績という意味では高打率を残していることがあげられるだろう。連続ドラマから映画化という流れを汲んだ『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』(2016)は、オープニング興収で6億1,500万をあげるロケットスタートで、公開11週で45億円を超える大ヒットを記録した。他にも『ルパン三世』(2014)は24億、『宇宙兄弟』(2012)は15億、『クローズZERO』(2007)、『クローズZERO II』(2009)はそれぞれ25億、30億とコンスタントに高いアベレージを残している。

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 また、小栗がマンガ好きというのは業界関係者のみならずファンの間でも有名であり、作品への熱い思いや愛情は大きな武器となっている。前述のように、難しい設定が多い少年・青年マンガの実写化では、作り手による世界観の理解度や共有が重要なポイントとなる。例えば、『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』で小栗を主演に起用した村瀬健プロデューサーは「歴史的なイメージとは違う織田信長像」という一筋縄ではいかないようなコンセプトのもと小栗を指名し、お互いが共鳴。さらにはその中で、作品の世界観を共有するためのリーダーシップを小栗に見たという。村瀬プロデューサーが「人望があり、彼(小栗)を慕う俳優も多い」と評したように、小栗には難易度の高い実写化に向けたチームワークの中心として期待されていることがうかがえる。

 ちなみに、小栗が注ぐマンガ愛は出演作にとどまらない。小栗は自身でメガホンを取らなかったものの、脚本協力として鈴木亮平主演のコミック原作映画『HK/変態仮面』にクレジットされている。その背景には、同映画でメガホンを取り、「銀魂」で小栗とタッグを組む福田雄一監督と、トークイベントで人気マンガ「変態仮面」の話題で盛り上がり、強い実写化への思いを語ったことがあった。そして“無謀”と言われていた「変態仮面」は映画化されスマッシュヒットを遂げ、続編まで製作された。

 こうした過去の作品の製作過程をみていると、小栗には難易度の高い世界観を共演者ならびスタッフと共有できるリーダーシップと存在感、原作および登場キャラクターへの愛情と理解度、それを形にしていく情熱が非常に高いと感じられる。さらにこれまで安定した数字を残しているということを鑑みると、小栗に人気マンガ実写化作品のオファーが続くのは自然な流れのように思える。(磯部正和)

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