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カネゴンや区長も参戦!再開発で揺れるシモキタ、映像を通してイベントが続々

カネゴンが50年前の下北沢一番街を歩く!
カネゴンが50年前の下北沢一番街を歩く! - 「カネゴンの繭」(1966)より

 “シモキタ”の愛称で知られる東京・下北沢で、再開発が進む街の変遷を映像で見ながら、街の未来を考えていこうというイベントが相次いで開催される。ライブトークには保坂展人世田谷区長もパネリストの一人として参加予定で、白熱したトークが展開されそうだ。(中山治美)

映画『下北沢で生きる SHIMOKITA 2003 TO 2014』場面写真

 まず、9月17日~10月7日、シモキタ唯一の映画館トリウッドで行われるのが「下北沢、50年の変遷」と題した特集上映。昨年5月にもシモキタに縁のある作品を集めた特集上映を行っており、今回は第2弾。公開10周年を迎えたアニメ『鉄コン筋クリート』(2006)のほか、人気特撮テレビ「ウルトラQ」や「ウルトラマンティガ」といった貴重なテレビシリーズも含めた6作が並ぶ。

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 注目は、「ウルトラマンQ」シリーズの「カネゴンの繭」(1966)。人気キャラクター、カネゴンと子供たちが、50年前の下北沢一番街を歩くシーンは、牧歌的で微笑ましく、時代の豊かさすら感じさせてくれる。また「ウルトラマンティガ」より上映される「ウルトラの星」(1997)には、東京・世田谷の砧にあった当時の円谷プロ(現在は渋谷区)が登場するという。

photo by Nobuyoshi Araki 「ライカで下北沢」
photo by Nobuyoshi Araki 「ライカで下北沢」

 ラインナップのヒントとなったのは、『シン・ゴジラ』公開に合わせて企画された雑誌「東京人」374号(2016年8月号)の特集「1960年代 特撮と東京」だという。雑誌を手にした同劇場代表の大槻貴宏オーナーは、すぐに円谷プロに連絡し、上映許可を取った。

 大槻オーナーは「シモキタで撮影された特撮モノがあるなんて、新たな驚きがありました。平和な時代だったのでしょうね(笑)。昨年、特集をしてみて、改めて自分自身がこの街を見つめ直すきっかけになったので、今後も定期的に特集できたらと思っています」と語り、同劇場の名物企画となりそうだ。

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 9月18日、19日の2日間に渡って行われるのは、市民イベントSHIMOKITA VOICE2016。シモキタでは2004年から小田急電鉄複々線化下北沢駅地下工事がはじまったが、2006年にさらに街を横断する都市計画道路、補助54号線(第1期工区)と区画街路10号線の事業認可が都から下りた。これをきっかけに、皆で語り合う場を設けようと2007年にスタートし、今年で10回目となる。

 これまでも、地元住民である作家・吉本ばななが「下北沢のこと」と題した朗読を披露し、リリー・フランキーや落語家・立川志の輔らシモキタを愛する著名人がライブ・イベントを行うなど、この問題を広めるために一役買ってきた。今年も充実の内容だ。

photo by Nobuyoshi Araki 「ライカで下北沢」
photo by Nobuyoshi Araki 「ライカで下北沢」

 今回は、10年間の活動をまとめたドキュメンタリー映画『下北沢で生きる』(山田軍団監督)のダイジェスト上映に、保坂区長や作演出家・坂手洋二、シンガー&ソングライター松崎ナオらが参加し、「下北沢の文化と生活クロニカル」などのテーマで話し合うライブトーク。下北沢CLUB251で行われるライブでは、坂田明のサックスと田中泯のダンスというココならではのコラボレーションもある。

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 また9月18日には、下北沢アレイホールで、撮り下ろしによる荒木経惟写真展「ライカで下北沢~路地の顔~」も行われる。小田急線の開かずの踏切や、戦後の闇市の名残だった「下北沢駅前食品市場」といった、今となっては懐かしい、かつてのシモキタを収めた写真が多数展示されるという。

photo by Nobuyoshi Araki 「ライカで下北沢」
photo by Nobuyoshi Araki 「ライカで下北沢」

 再開発事業を巡っては、SHIMOKITA VOICE実行委員会で開発の見直しを求める要望書を区長に提出したり、道路建設を認可した国と都を相手に計画見直しを求める訴訟を起こすなど、具体的な行動も示してきた。そして今年3月30日、東京地裁が提示した和解案を都と区が受け入れたことから、訴えを取り下げた。これで一応、訴訟は「終結」となった。

 SHIMOKITA VOICEの顧問であり、シモキタの老舗ジャズバー「LADY JUNE」の大木雄高オーナーは「裁判の“和解”というのは、SHIMOKITA VOICEの成果の一つと言えると思います。ただそれはあくまで見直し案に関しての和解であって、再開発の条例自体はいまだ生きていますので、今度どのような展開を迎えるのか? まだまだ見守り続けなければいけないと思っています」と語る。

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 そして引き続き10月8日~10日には、トリウッドとしもきた空間リバティで第8回下北沢映画祭も開催される。シモキタといえば、入り組んだ路地に小劇場にライブハウス、個性的な個人店舗が立ち並び景観そのものが文化を形成してきた。一方で、建物の老朽化問題や、災害に備えた街づくりの重要性も大きな課題となっている。シモキタがどのような方向へ向かっていくのか注目したい。

●トリウッド
http://homepage1.nifty.com/tollywood/

●SHIMOKITA VOICE2016
http://shimokita-voice.tumblr.com

●第8回下北沢映画祭
http://shimokitafilm.com

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