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「青天を衝け」吉沢亮、圧巻の号泣シーン!演出・黒崎博、舞台裏明かす

第12回「栄一の旅立ち」より
第12回「栄一の旅立ち」より - (C)NHK

 日本資本主義の父と呼ばれた実業家・渋沢栄一の生涯を描く大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほかにて 放送)。本日(2日)放送の第12回では、吉沢亮演じる渋沢が、葛藤の末、大きな転機を迎えた。栄一の喜怒哀楽が詰まったこの回の演出を務めた黒崎博が、吉沢の魅力や栄一に込めた思いを語った(※ネタバレあり。第12回の詳細に触れています)

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 武蔵国血洗島村(現在の埼玉県深谷市)で養蚕と藍玉作りを営む農家の長男として生まれた栄一。幼少期から口が達者で強情っぱりな栄一は、官尊民卑がはびこる身分制度に疑念を抱き、自分の目と耳で感じたことを、自分の頭を使って行動する青年へと育った。やがて栄一は、従兄の尾高惇忠(田辺誠一)や、長七郎(満島真之介)らの影響を受け、尊王攘夷の志士となり「命を投げ打ってでも時代を変える」と決意。しかし第12回「栄一の旅立ち」では、時世の変化を知り「生き抜いて時代を変えること」に方向転換することとなった。

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 栄一のターニングポイントになる本回について、黒崎は「この回の栄一というのは、自分が決死の覚悟を持って進んだ道が間違っていると思い知らされる回。変な言い方ですが、すごく格好悪くて恥ずかしいわけなんですよね」と解説。吉沢にはその屈辱をスマートに表現するのではなく「泥臭くみっともない姿をしっかりさらけ出そう」とディレクションしたという。

長七郎(満島真之介)、喜作(高良健吾)らと尊王攘夷に傾倒していた栄一だが……

 劇中、栄一がとりつかれていた思いが絵空事だったことに愕然とするシーンや、妻の千代(橋本愛)、父・市郎右衛門(小林薫)へ思いを吐露し涙するシーンなど、エモーショナルな場面が続く。5分近くに及ぶシーンもあり、栄一が初めて愛娘うたを抱き、これまで娘を抱こうとしなかった理由を千代に打ち明ける下りでは号泣する一幕もあった。黒崎は「テイクを重ねているシーンもありますが、基本的に途中でカットを切らず、最初から最後までワンテイクで撮ろうとしました」と演出プランを明かす。

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 その意図について「吉沢くんはとても器用な俳優さんで、綿密にお芝居を組み立てることもできる人。でも、今回のシーンについては、ドキュメンタリー的というか、その場で計算しきれない気持ちが出てくるのを狙いたかった」と黒崎は語る。

 そこには吉沢に対する絶大な信頼が垣間見える。「とにかく吉沢くんは集中力がすごいので、撮り始める前の雰囲気で『良いものが出てくるな』とわかる。それを現場が感じとって、カメラも照明もしっかりとセッティングができるので、長回しでも、とても素晴らしい画が撮れるんです」

 いよいよ次回から、栄一は生まれ故郷である血洗島を出て、日本の未来のため身を捧げるべく京都へと活躍の舞台を移す。黒崎は「これからどんどん栄一のステージが変わっていき、交流の範囲も大きく広がります」と期待をあおると「多くの人は、相手を殺めるという負のエネルギーで国を変えようとするのですが、栄一は第12回で心に誓った“生き抜く”ということを貫き通すという根っこは変わらないんだろうね」と吉沢と話し合っているという。

栄一が愛娘うたを抱こうとしなかった理由とは……

 この出会いのなかには、のちの江戸幕府・第15代征夷大将軍となる徳川慶喜(一橋慶喜/草なぎ剛)も含まれている。黒崎は「慶喜と縁のない栄一がどうやって接点を持つのかというのも大きな見どころです」と語ると、慶喜を演じる草なぎに対して「こんなに振れ幅の大きな俳優さんに出会ったことがないという印象。慶喜としての凛とした佇まい、平岡円四郎(堤真一)とのシーンでニコっと笑うときの芝居が別人なんです」と驚きを見せていた。

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 91歳まで生き、幕末から明治にかけて銀行、保険、製紙、紡績、鉄道、海運、ガス、電気など約500もの企業を育て約600の社会公共事業に関わり、多くを成し遂げた栄一。黒崎は「幕末や明治維新を表現するとき、いかに美しく死ぬかという美学が描かれることが多いですよね」と言及すると「しかしこの作品では、どんなにみっともなくても生きていなければダメだという渋沢さんの思いを最後まで貫いていきたい。脚本の大森美香さんともその部分では意思統一しています」と作品に込めた強いメッセージを述べていた。(取材・文:磯部正和)

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