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イロイロ ぬくもりの記憶 (2013):映画短評

イロイロ ぬくもりの記憶 (2013)

2014年12月13日公開 99分

イロイロ ぬくもりの記憶
(C) 2013 SINGAPORE FILM COMMISSION, NP ENTERPRISE (S) PTE LTD, FISHEYE PICTURES PTE LTD

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 5

ミルクマン斉藤

ここにも神の居場所はあるようだ。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

物語だけ抜きだせば大層ハートウォーミングなものを連想させ、ま、結果的にそうではあるのだが、なんせ語り口が知的でクール。勿体ぶった心理描写や説明的台詞は注意深く避け、起こった事実のみを淡々と綴っていくスタイルだが、それだけで心理描写も過不足なく、いやむしろ雄弁なほどだし展開もスピーディだ。憎ったらしくてブサイクでわがままなガキが、故国に幼子を残したまま出稼ぎに来ているフィリピン人ハウスメイドと交わるうち、次第に可愛く見えてくる不思議。文化的・階層的な差別構造も、皮肉な嗤いを伴いながら浮き彫りにさせていく見事さもあり、いや、このシンガポールの新人監督は大変な才能かも知れない。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

厳しい世でもがく一家の姿に、浮かび上がるリアル

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 家長としての責任感ゆえにリストラされたことを打ち明けられない父、妊娠中で精神的に不安定な母、そして問題児の息子。移民のベビーシッターが耐え忍ぶことで、そんな一家の溝を埋めてゆく物語は、安直な感動でごまかさず、多くのことを物語る。

 愛憎、反抗、不況といった不安な要素が渦を巻く現代。それでも踏ん張ることの意味はどこにあるのか?そこには確かに訴えるものがある。ドキュメンタリーのようなカメラワークは物語をリアルなものに仕立て上げ、他人事で片付けない。そんな潔さが魅力を放つ。

 大変な世界で皆、必死に生きている。当たり前だが大事な、そんなことにふと気づかされ、励まされたような気になる秀作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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