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駆込み女と駆出し男 (2015):映画短評

駆込み女と駆出し男 (2015)

2015年5月16日公開 143分

駆込み女と駆出し男
(C) 2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 5

なかざわひでゆき

鋭い権力批判とフェミニズムの精神を内包した堂々たる時代劇

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 江戸時代の末期、様々な理由で離婚を望む女性たちが駆け込む縁切寺を舞台に、封建社会の理不尽に耐えつつも逞しく生きる人々の姿を活写していく。
 刀を振り回すやくざ者に丁々発止の話術で対抗する大泉洋の見事な芸達者ぶりもさる事ながら、教養を身に付けることで強い自立心に目覚めていく戸田恵梨香の確かな演技力が物語を牽引する。
 財政再建の名目で貧しい庶民ばかりが割を食い、過度な綱紀粛正によって社会全体が不寛容となった天保の改革の時代に、現代の日本社会が色濃く投影される。鋭い権力批判やフェミニズムの精神を大らかな人情喜劇で包み込み、なおかつ日本的な侘・寂の情緒によって風格ある時代劇へと仕立て上げられた。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

今も昔も離婚って大変。でも江戸風フェミニズムは小粋だね。

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

江戸時代は妻から夫にダメ出しする、いわゆる“三行半”をつきつければ離婚が成立すると思っていたので、本作でシステムを知ってびっくり。学びの映画としての側面は大きい。さらに「ほおっ」と思ったのが事情を抱えた女性をサポートする御用宿の存在。今でいう裁判所の調停のようなものか。男尊女卑の時代にフェミニズムの萌芽があったと知ってうれしくなった。離婚に至までの夫婦の事情も納得いくものばかりで、未婚なのに共感大!? 軽妙な演技を披露する大泉洋はじめとする役者陣は適役だし、テンポよく物語が進行するので長尺とも感じない。離婚のネガティブなイメージを覆し、人生の再出発という点が強調されたのも前向きで素敵!

この短評にはネタバレを含んでいます
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