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トイレのピエタ (2015):映画短評

トイレのピエタ (2015)

2015年6月6日公開 120分

トイレのピエタ
(C) 2015「トイレのピエタ」製作委員会
ミルクマン斉藤

生の煌めきを死から捉えて、しかし美しい。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

夢に挫折したうえ未来が目の前から消え去り、残された生にしがみつく青年を演じる野田洋次郎(なかなかこんな歩き方はできない)。複雑な家庭環境を抱えながら一挙手一投足が魅力的にキラキラ輝く杉咲花(この自転車爆コギは生そのものだ)。この二人が刹那にスパークさせる紛うことなき恋愛が美しい。それは多分に少女愛的な空気を伴うが、少女の生の力=エロティシズムは瞬間に聖母の慈愛へと昇華し、不浄のトイレが瞑想の洞窟・母の子宮へと変貌する宇宙観に感動を覚える。足掻く野田を飄々と見守るリリーさん、TVで観る印象を覆す市川紗椰もいい。しかし少女の生はここで終わらない。この後の姿も切実に観たくなりますよ、松永監督!

この短評にはネタバレを含んでいます
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