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犬どろぼう完全計画 (2014):映画短評

犬どろぼう完全計画 (2014)

2015年7月18日公開 110分

犬どろぼう完全計画
(C) 2014 Samgeori Pictures Co, Ltd. ALL RIGHTS RESERVED

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

韓国社会の生きづらさをチクリと皮肉るユーモア精神が絶妙

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 父親の失踪で母親や弟とのミニバン生活を余儀なくされた幼い少女が、家を買うために報奨金目的の飼い犬誘拐を計画するものの、次々と予期せぬ事態に見舞われる。
 坪単価の意味が分からず500万ウォンで家が買えると勘違いしてしまう辺りからして、まさしく子供の浅知恵なわけだが、そこまで追い詰められた少女の切ない窮状を通じ、深刻な貧富の格差や階級意識、学歴至上主義に強烈な虚栄心、腐敗と汚職などが蔓延る韓国社会の生きづらさをシニカルなユーモアでチクリと揶揄していく。
 とはいえ、題材は深刻ながら仕上がりは極めてポップかつハートウォーミング。複雑な大人の世界を垣間見る少女の冒険と成長の物語としても秀逸だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

これは確かに「口コミ力」を持ってるよ!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

えらくポップで驚き! お話は父親が蒸発、世間知らずの母親に連れられた少女のワゴン車暮らしのホームレス生活……という結構ハードコアな内容だが、語り口がとっても陽性。カラフルに彩られたシーンの数々を想い出すだけで楽しい気分になる。韓国では小規模公開から拡大して大ヒットに至ったらしいが、確かに「意外な拾い物だよ」と伝えたくなる魅力があるなあ。

原作はアメリカの児童文学作家バーバラ・オコーナーの小説で、彼女は大学で英文学を専攻してたそうだが、社会的弱者の痛みをメルヘン調に昇華する作風はディケンズっぽい。俳優陣は子供も大人も素晴らしく、ピザ屋の店員に扮するFTISLANDのイ・ホンギもいい味出してる!

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

子供の浅知恵が生んだ奇跡ににっこり

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

子供と犬の組み合わせって最強だよなと思いながら見ていたけれど、斜に構えるのが恥ずかしくなるくらいにピュアな人間ドラマ。切羽詰まった少女ジソと親友の思いつきが雪崩式に大きな事件となるあたりはスラップスティック調だが、事件に関わってくる富豪マダムや謎の浮浪者の切ない人生模様できっちりバランスを取っている。笑いと泣きのツボをしっかり抑えた監督の演出が巧みで、家族愛がすんなり心に沁みいる。達者な演技で涙を誘うジソ役のイ・レは、『冬の小鳥』のキム・セロンを彷彿させる。とはいえ、子供と犬に負けてないマダム役のキム・ヘジャの圧倒的な存在感にはひれ伏すのみ。すごい目力なんだもん。

この短評にはネタバレを含んでいます
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