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ムード・インディゴ うたかたの日々 (2013):映画短評

ムード・インディゴ うたかたの日々 (2013)

2013年10月5日公開 131分

ムード・インディゴ うたかたの日々
(C) Brio Films - Studiocanal - France 2 Cinema All rights reserved

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

今 祥枝

ミシェル・ゴンドリー執念の一作を偏愛!

今 祥枝 評価: ★★★★★ ★★★★★

39歳で他界したボリス・ヴィアンが、1946年に発表した本作の原作『うたかたの日々』に影響を受けた映像作品は数知れず。筆者が最初に読んだのは10代の頃で折りに付け読み返しているが、年齢を経るごとに最初は恋愛中心に読んだこの一風変わった青春小説が、どれほど人生の真理を描いているのかと痛感し切なさは増すばかり。

だからゴンドリーが異常なまでの執念でもって、ヴィアンの世界を忠実に映像化したことに驚嘆し歓喜した。”カクテルピアノ”にしゃべるネズミ、水道の蛇口からうなぎ、そしてデューク・エリントン! 希望に満ちた青春時代は美しく幻想的だが、瞬く間に人生は冬を迎え、死の影が迫るクロエとコランの世界は文字通り色彩を失っていく。原作に忠実に、だがイマジネーションはゴンドリー一流のもので、奇妙だが美しく、時にグロテスクでもある独創的な映像世界は抗い難い魅力にあふれている。

こうした直球のアプローチを冷笑する向きもあれば、評価が分かれる点でもあるだろう。が、ヴィアンの名著に対する馬鹿正直な姿勢は返って新鮮で、今作では生きていると思う。原作のファンはもちろん、波長が合えば偏愛せずにはいられない一本だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

90年代カルチャーは遥か遠く……でも全力で推します!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

正直、もっと早く観たかった……なんて本音は言うまい!(言いましたけど)。これは『日々の泡』の邦題でも知られるボリス・ヴィアンの原作小説に心酔する者なら感涙の映画化だ。シャルル・ベルモン監督の時代色豊かな1968年版も、利重剛監督の生真面目な2002年版(『クロエ』)も、そして岡崎京子による1995年のコミック版も、みんないい。でもミシェル・ゴンドリーのハマリっぷりはもう完璧である!

ハンドメイドな映像感覚で魔法のように具現化される、カクテルピアノや心臓抜きといった奇想アイテムの数々。ドリーミーな前半とダウナーな後半に合わせた色彩設定まで、ヴィアンの世界観にとことん忠実。原作原理主義を守りながら、ゴンドリーの映画群で最も“乙女オトコ”のセンスが全開という奇跡が起こっている。『恋愛睡眠のすすめ』は本作のプロトタイプだった!

尤もわかる人にはわかると思うが、90年代渋谷系の洗礼を受けた世代として、今のタイミングでコレを推すのは逆にかなり恥ずかしい。キャスト陣も結構トシ食っている。だが中年の「青春ごっこ」に見えようとも表現レベルの高さに変わりはないのだ。ゴンドリーも医者役で出演してます!

この短評にはネタバレを含んでいます
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