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合葬 (2015):映画短評

合葬 (2015)

2015年9月26日公開 87分

合葬
(C) 2015 杉浦日向子・MS.HS/「合葬」製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

安保法案の是非に揺れる今だからこその青春時代劇

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 江戸から明治へと移り変わる激動の時代を背景に、江戸幕府の再興を目指す彰義隊に加わった3人の若者の破滅的な運命が描かれる。
 厚い忠誠心から過激な強硬路線へのめり込む者、無益な争いを好まず非暴力を訴える者、なんとなく周囲の空気に流された結果そこにいる者。そんな彼らの若さと純粋さゆえの苦悩や葛藤も、結局はより大きな波にあっけなく呑み込まれてしまう。
 226事件や全共闘運動などにも通じる普遍性を持った青春群像劇。これが劇場用処女作となる小林監督の演出はまだまだ荒削りな印象だし、あえて意図した現代的作風は好き嫌いが分かれるだろうが、安保法案の是非に揺れる’15年の時代劇としてタイムリーな作品だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

原作を尊重しつつ、映画独自の視覚表現に挑む

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 コミックの映画化は、コミックと映画の双方が視覚表現なので、原作と映像の位置関係が難しい。が、本作は、原作との関係がうまい。原作コミックの画を意識しつつ、それとまったく同じではない、映画独自の画を創り出すことに挑戦し、幾つかのシーンでそれに成功している。登場人物の目から見た徳川慶喜の開城。上野の合戦のハスの花。原作にはない場面もあり、中には賛否両論のありそうなものもあるが、全体像は変わらない。全編を通して、光量を抑えて一定のトーンを保つ色彩設計、エレクトロ寄りにもなる音楽、カヒミカリィの語りで、いわゆる時代劇の定形フォーマットを外して、これがある時代限定の物語ではないことを示し続ける。

この短評にはネタバレを含んでいます
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