あやしい彼女 (2016)：映画短評

ライバル役の金井克子以外のキャスティングの弱さに、ぶっちゃけ「大丈夫か？」と思ってしまった『怪しい彼女』日本版リメイクだが、これがあなどれない。まずは暴言を吐き、白目を剥く多部未華子のコメディエンヌとしての魅力が爆発！　下町を舞台にした人情喜劇ならおまかせの水田伸生監督との相性もピッタリで、美しい歌声でキーワードとなる懐メロも披露。結果、『君に届け』以来の代表作になったといえるだろう。そして、特筆すべきはヒロインだけでなく、ヒロインの娘もシングルマザーの設定に変えた吉澤智子による脚色。ブレな過ぎる小林聡美の演技との相乗効果で涙腺崩壊は必至。それにより、オリジナル超えの女性映画に仕上がっている。