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太陽の下で -真実の北朝鮮- (2015):映画短評

太陽の下で -真実の北朝鮮- (2015)

2017年1月21日公開 110分

太陽の下で -真実の北朝鮮-

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

偽りの日常から垣間見える北朝鮮の素顔

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 北朝鮮の平壌に暮らす平凡な少女とその家族の日常を記録したドキュメンタリーなのだが、もちろん基本はやらせ。あらかじめ用意されたシナリオ通りに演じられる偽りの世界だ。それはそれで噴飯物で面白いのだが、やはり最大の見どころは当局者の目を盗んで撮影された隠し撮り映像であろう。
 北朝鮮が対外的にアピールしたいイメージと、その裏の見せたくない実情の両方が映し出される。これをかつての同盟国、ロシアの映画監督がカメラに収めているのだから皮肉なもんだ。そして、国家のプロパガンダを演じさせられる幼い少女が撮影の合間に見せた涙。そこに込められた複雑な思いを想像すると切ない。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

教育って大事

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

反日感情を露わにするニュースを見ると、しばし考える。
戦争体験者ならまだしも、若年層が憎悪を抱く根源は?と。
答えが本作にあった。
小学校の授業で、繰り返し教え込まれる日本は悪という考え。
本作は少女を通して北朝鮮の日常を追ったドキュメンタリーだが、一人の人間が教育によって理想とする国民へと染まっていく姿を捉えてしまった。
私達はどうしても北朝鮮を色眼鏡で見がちだ。
だが本作で行われていることはかつての日本しかり至る所で当てはまるのでは?
そして彼女たちが不幸で私たちの生活がバラ色かと考えると、そうでもないことも。
極めて冷静な作風が、翻って私たちの社会を考えるきっかけを与えてくれるだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

8歳の主人公のその後が不安で、不安で……

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

平壌の一般家庭に密着したドキュメンタリー映画が「北朝鮮政府が見せたい幸せ家族像」だったと気づいたロシア人監督が政府の裏をかいた作りなので、政府の指導っぷりが赤裸々に。生きるためには指導者に従って自身の感情は持たないようにする全体主義社会に生きる人々の処世術は今さら新しいものではないが、プロパガンダ映画の作り方ハウツーが恐ろしくも笑える。そして、8歳の主人公ジンミちゃんがクライマックスで流す涙に人間は本能として自由を求めているのだなと実感。もちろん涙の意味は彼女にしかわからないけど、北朝鮮政府はこの映画に激怒しているとのことで少女のその後が不安になりました。収容所に送られてたらかわいそう。

この短評にはネタバレを含んでいます
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