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愚行録 (2016):映画短評

愚行録 (2016)

2017年2月18日公開 120分

愚行録
(C) 2017「愚行録」製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

くれい響

日本映画らしくない空気感が評価の分かれどころ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

さすがは、“イヤミス”の先駆け的作品。向井康介による脚色は、原作に比べ、若干ミステリー要素が薄くなっているものの、大学内のカーストと女子同士のマウンティングを軸に、気持ち悪いぐらい人間の愚かさを浮き彫りにし、点と線が繋がったラストではしっかり突き落としてくれる。ポーランドで映画を学んだ日本人監督とポーランド人の撮影マンが生み出す不穏かつクールでドライな空気感は、妻夫木&満島共演からイメージされる李相日監督作とは、じつに対照的。そこの好みが、評価の分かれどころになるだろう。そんななか、「電王」の愛理さんこと、松本若菜がついにブレイクの予感。どんどんイヤな女を演じてもらいたいものだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

なのだが映像はどこまでも端正で濁りがない

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 描かれていくのは人間たちの愚行のオンパレードなのだが、それとは対比的に、映像は端正でくすみがない。
 冒頭のバスのシーンは、出来事と映像の質感の双方が、その後に描かれる物語の不穏な序章になっている。バスの中の、雨に濡れた窓、湿った空気、昼なのに明るくない光が、その後もずっと尾を引いて、物語の陰影をさらに濃くしていくのだ。この場面は原作にはないそうで、映像と脚本の力に驚かされる。
 微妙な低温度で貫かれた映像は、監督が映画を学んだポーランドの撮影監督が撮り、ポーランド映画「イーダ」のカラリストが色を細かく調整したとのこと。監督の映像へのこだわりが、独自の世界を生み出している。

この短評にはネタバレを含んでいます
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