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オンリー・ゴッド (2013):映画短評

オンリー・ゴッド (2013)

2014年1月25日公開 90分

オンリー・ゴッド
(C) 2012 : Space Rocket Nation, Gaumont & Wild Bunch.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

レフン監督版「サンタ・サングレ」と呼ぶべきか?

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 レフン監督曰く“神と対峙する男”を描いたとのことだが、正確には“神がかり的な力”を持つ警官と対峙する羽目になった悩める極道のお話。そこへギリシャ神話的な母と息子の歪んだ愛憎、舞台となるバンコクのいかがわしさ、血みどろのバイオレンス描写がねっとりと絡み合い、えもいわれぬ独特の世界を浮かび上がらせる。
 鮮烈な原色の照明を駆使した映像美は、まるでバーヴァの「モデル連続殺人」かアルジェントの「インフェルノ」。いや、ホドロフスキーへオマージュを捧げているところから察するに、テーマ的な共通性も含め「サンタ・サングレ」と比較すべきか。かなり観客を選ぶ作品ではあるが、個人的には好きにならずにいられない。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

鈴木清順が好きなだけなんです!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ドライヴ』だけがまぐれに近いレフン監督だが、「『東京流れ者』や『殺しの烙印』とか鈴木清順が好きなんです!」と言わんばかりに撮ったとしかいえない本作。シュールなカラオケはジョニー・トーの『柔道龍虎房』だし、そりゃカンヌで叩かれるのも分かる。
 クリスティン・スコット・トーマスの姐御演技はスゴいが、いかんせん動機が動機なので、まったく感情移入できないように脚本がお粗末。だが、ウォン・カーウァイ作品のようないかがわしい照明作りや前作比3割増しのヴァイオレンス描写から、アート系として楽しむことはできる。
『ザ・ドライバー』ベースの80年代オマージュの前作に続いて、化けの皮が剥がれてきたか?

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

本年度の怪作大賞はコレで決定か!?

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ドライヴ』でニコラス・W・レフン監督のファンになった人は引っくり返るのではないか? バンコクの裏社会を舞台に、やたら弛緩しまくったテンポと安っぽい色彩のアシッドムービーが展開する。登場するのは全員狂人だが、特に「神」を自称する処刑刀の達人、そして弔いの唄をカラオケで熱唱するチャンというおっさん、キャラ立ちすぎ!

本作はホドロフスキーに捧げられているが、筆者は初期の三池崇史を想い出した。壮絶な玉石混交(大半は石)というVシネマ群の中で奇跡の輝きを放っていた『極道戦国志 不動』のようなアジアン・モンド、ビザール・シネマの怪作、珍作。これだけカルトに殉じた映画は最近希少で、愛さずにいられない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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