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恋の渦 (2013):映画短評

恋の渦 (2013)

2013年7月6日公開 138分

恋の渦
(C) 2013 シネマ☆インパクト

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.7

轟 夕起夫

恋の渦とは欲望の渦、煩悩の渦……日本製トラジコメディの傑作!

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

人間ってえのは「上半身」と「下半身」との闘い、その止めどない葛藤のもとに生きている。それはつまり“ひとり相撲”みたいなものだから、端から見れば滑稽な姿この上ない。

部屋コンをキッカケに、男女9人のゲスでエロくてDQNな恋愛模様が繰り広げられていく本作。最初は自分を棚上げしてニヤニヤと眺めていたのだが、時折ドキっ、イタっ、ムムっと心が反応、最後には、ジ~ンとしたかと思えば「ウギャっ」と小さな悲鳴を上げていた。

セックスを(誠実かつ品よく)映画に盛り込むのはとても難しいのだが、たとえば『スーパーバッド 童貞ウォーズ』や『ヤング≒アダルト』みたいな映画が日本でも作れることを示した大根仁監督の演出スキルを称えておきたい。“玉突き交通事故”のごとき生態観察日記、各エピソードを「ドン、ド、ドン、バーン」というバスドラ&スネアの音で寸断しつつブリッジ、並走してゆく複数の時間のフローが心地よい。このダラダラなノンストップ感は、ネットを手に入れて以来四六時中、自分の足の裏側の世界、他人事さえをも貪る我々の欲望、はたまた、LINE的な時空間を「映画のカタチ」にしたもの、でもある。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

大傑作。もはや「金がない」ことは言い訳にならない!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

よく日本映画のハンデとして語られるのは「金がない」ことである。特にインディーズ系映画は、有名キャストも豪華セットもCGも使えないんだからご容赦くださいよ~、とでもいった暗黙の甘えが感じられるものが正直多い。だが本当にそれは解決不能な逆境なのか? 本作『恋の渦』は、監督・大根仁の弁によると「現場制作費10万円(マジですよ!)」(『テレビブロス』誌のコラム連載「中春スケッチブック」2013年3月2日号より)というケタはずれの超低予算だ。キャストは全員無名、舞台は4つの部屋の中のみ。だけど、めちゃくちゃ面白い! 言わば東宝で大根が撮った『モテキ』(こちらの予算は「ン億円」とのこと)で森山未來と長澤まさみが過ごすエロい部屋のシーン、あれをディープに全面展開したような濃厚さ。つまり面白い脚本(三浦大輔)と高い演出力があれば、ハリウッドや大手会社の映画にも勝てるのだ。本作は凡百の作り手たちに言い訳を許さなくしてしまった。罪な大傑作である。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

Twitterの盛り上がりはウソじゃなかった

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

山本政志監督率いる実践映画塾「シネマ☆インパクト」の1企画として制作され、今春、渋谷でイベント上映されるや連日満員の大ヒット。Twitterの盛り上がりを半信半疑で観賞したが、気づけばスクリーンに釘付けになっていた。“部屋コン“に集まった今どきの男女9人の、絡まりまくった恋模様を描いているのだが、彼らの生活を覗き見しているようなリアルさに舌を巻いた。わずか4日間で撮影したそうだが、えも言われぬテンションの高さや若手俳優陣の情熱が上手く作品にリンクしたのだろう。ただ劇作家&演出家の三浦大輔が手掛けたオリジナル舞台を知る者としては、各キャラクターのルックスは模倣したのじゃないか?と思えるほどそのまんま。4部屋で起こるドラマを同時に見せた舞台版の斬新さとテンポの良さに比べ、ザッピングするかのように4部屋の話を繋げて上映時間2時間超えはちと長い。でも、その意欲に免じて拍手を送りたい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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