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難役でさらに一皮むけた広瀬すず!『流浪の月』など5月の5つ星映画

今月の5つ星

 白石和彌監督のサスペンスから新鋭たちが輝く日本映画、オードリー・ヘプバーンのドキュメンタリー、広瀬すず李相日監督の再タッグ作、湯浅政明監督の挑戦的なアニメまで、見逃し厳禁の作品をピックアップ。これが5月の5つ星映画だ!

阿部サダヲの穏やかな殺人鬼に取り込まれる

死刑にいたる病』5月6日公開

 『孤狼の血』の白石和彌監督が櫛木理宇の同名小説を映画化したサスペンス。24人の殺害容疑で逮捕された連続殺人犯から、そのうち1件の冤罪(えんざい)証明を依頼された大学生が、事件の真相に迫る。

 殺人犯と主人公による面会室での会話劇は、白石監督の『凶悪』のような緊迫感で見せるが、本作の殺人犯・榛村を演じるのは、善良な人間にしか見えない阿部サダヲ。パン屋として生活する傍ら、十代後半の男女ばかりを拷問して殺害した凶悪犯だが、その物腰は犯行中でさえ穏やかで柔らかく、心安らぐ語り口に引き込まれる。白石監督の真骨頂ともいえる犯行描写は目を背けたくなるほどだが、それでもなお、善良な人間に見えてしまう殺人鬼像は得も言われぬ不気味さ。ダブル主演の岡田健史もコミュ障気味で鬱屈とした大学生を好演しており、殺人犯に頼られ、真相を探るうちに自信を取り戻していく姿がまた危うい。さわやかさのかけらもないほど変貌した岩田剛典にも注目。

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新星・嵐莉菜がドキュメンタリーと見まがう名演

マイスモールランド』5月6日公開

 ある日突然難民申請が不認定となり、日常が一変する17歳のクルド人少女サーリャ(嵐莉菜)の受難を描く本作。なぜ住みたい国に住めないのか? 国を持たない彼らに安住の地はないのか? 少女の視点を通して描かれる、今まさに起きている切実な問題に誰もが理不尽さを感じるはずだ。

 父、妹、弟と共に幼い頃から日本で暮らしていたサーリャは在留資格を失った途端、家計を支えるためのアルバイトもできず進学もできず県をまたぐことも許されない。アルバイト仲間の高校生・聡太(奥平大兼)との間に恋が芽生えるも、明日をも知れないサーリャにとって彼はあまりにまぶしく、境遇の差を思い知らされることとなる。本作が女優デビューにして映画初主演を飾った嵐と、2作目の長編映画となる奥平。是枝裕和の監督助手を務めた新鋭・川和田恵真が本人たちを一部当て書きした脚本は圧倒的なリアリティーを帯び、2人の奇跡的な瞬間の数々を捉えている。(編集部・石井百合子)

オードリー・ヘプバーンよ永遠に

オードリー・ヘプバーン』5月6日公開

 永遠の妖精と呼ばれたオードリー・ヘプバーン初の長編ドキュメンタリー映画。幼少期の白黒写真、ブレイク前の秘蔵映像、スターになった後の家族とのプライベート映像などが、本人の音声とともに紹介される。さらに彼女の長男ショーンや孫娘エマ、生前親しくしていた友人たちも登場し、知られざるオードリーの素顔が明かされていく。

 驚くのは、世界中から愛されているオードリーが、実は愛に飢えた人だったという事実。幼少期の戦争体験、離婚、流産など、つらいトラウマについて語られており、スターではない一人の女性としてのオードリーを知ることができる。もうすぐ没後30年を迎えるオードリーだが、生前に残された本人の音声が随所に使われているため、まるで今も生きているかのような錯覚に陥る。愛を求め、無償の愛を与え続けたオードリーは、消して色あせない究極のアイコンとして、これからも永遠に愛され続けることだろう。(編集部・香取亜希)

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『怒り』監督と再タッグで、さらに一皮むけた広瀬すず

流浪の月』5月13日公開

 本屋大賞を受賞した凪良ゆうの小説を、『怒り』の李相日が映画化。10歳の時に誘拐事件の“被害女児”として世間に名前を知られた女性・家内更紗を広瀬すず、その“加害者”とされた青年・佐伯文を松坂桃李が演じる。

 『怒り』に続いて広瀬は、またも難しい役どころに果敢に挑み、女優としてさらに一皮むけた印象を受ける。松坂は見た目も原作のイメージに成り切り、ある秘密を抱える文の繊細な心情を体現する。更紗にDVを振るう恋人役でこれまでにない顔を見せた横浜流星や、脇に徹する多部未華子も新鮮だ。原作と異なり、映画は大人の更紗が主軸で、現在と過去を交錯させながら、150分じっくり見せる。はたから見れば“被害女児”と“加害者”だが、そこには二人にしかわからない関係がある。それゆえに更紗の「人って見たいようにしか見てくれないのかも」というセリフが心に響く。映画では描き切れなかったエピソードを含む原作もあわせて読みたい。(編集部・中山雄一朗)

能楽を新解釈で体感させる、挑戦的なアニメ表現

犬王』5月28日公開

 古川日出男の「平家物語 犬王の巻」を湯浅政明監督がアニメ化。犬王とは、室町時代に世阿弥のライバルとして人気を集めたという、知られざる能楽師のことだ。その犬王と、世間のつまはじきにあっていた琵琶法師の友魚が運命のように出会い、異能の表現者として人々を熱狂させていく展開には胸が熱くなる。

 見どころは、犬王と友魚ら一座が群衆を巻き込んで繰り広げる怒とうのパフォーマンス。琵琶はエレキギターのように激しく鳴り、観客は総立ち、当時の熱狂がさながらロックコンサートのごとく、大胆かつ斬新な解釈で再現される。同時に、犬王の踊りはバレエの趣もあり、能が多彩な総合芸術であることを伝える。犬王役のアヴちゃん女王蜂)の変幻自在な歌声をはじめ、野木亜紀子(脚本)、松本大洋(キャラクター原案)、大友良英(音楽)という第一線のスタッフが参加した本作も、アニメという枠を超えて、総合芸術として新たな表現を追求した野心的な一作だ。(編集部・大内啓輔)

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