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モンスターズ・ユニバーシティ (2013) 映画短評

2013年7月6日公開 103分

モンスターズ・ユニバーシティ
(C) 2013 Disney / Pixar. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

相馬 学

共感を呼ぶスケアリーモンスターズの修業期

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

誰より頑張っても、誰より上に行けるわけではないのは世の常で、他者の素質や才能を前にして努力が報われずに終わることはよくある。そんな現実を学ぶマイクのドラマは観客がもっとも感情移入しやすい部分だろう。一方で、怖がらせる才能に恵まれながらも、それを活かせないサリーの悩みにも共感できる。そういう意味では気持ちを持っていかれる、よくできた青春ドラマ。厳しい現実を知ったうえで、どうするのかを見据えている点がいい。ヒエラルキーが存在する現実のキャンパス・ライフをパロディにした点も、リアルだったり笑えたりで好感度大。『モンスターズ・インク』の名コンビがハナッから名コンビではなかったという、意外なゼロ的エピソードが前作のファンには楽しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

往年の学園コメディをピクサー・テイストで昇華

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『桐島』で描かれたスクールカーストや、『きっと、うまくいく』で描かれた大学の体制批判が織り込まれているといえば、今の映画っぽく聞こえるが、本作のベースは間違いなく『アニマルハウス』『ナーズの復讐』など、大学のフラタニティ(友愛クラブ)を描いた往年の学園コメディ。現にサリーは、ジョン・ベルーシを彷彿させるふてぶてしさを全開させ、ジョック(体育会系)が主体となる他のフラタニティから入会を拒絶されたマイクは、彼らと見返そうと同様のナードやギーク(オタク)とともに一念発起する。そんな日本では受け入れられにくい題材でも、キャラ重視のピクサー・テイストで昇華してしまった巧さ。このテの作品にはお約束な女性キャラとの恋バナがないことや、クライマックスの展開ではピクサー作品特有の派手さがないなど、弱点は確かにある。だが、こんなタイトルながら、学歴<実力社会を前面に打ち出した挑戦的なオチは見事としか言えない。

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なかざわひでゆき

親が子供と将来の夢を語り合う上でも必見

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

子供部屋に夜な夜な忍び込んでは子供たちを怖がらせ、その悲鳴をエネルギー源として生活するモンスターたち。本作はその“怖がらせ屋”の第一人者サリーと助手マイクの、学生時代の出会いと友情を描いた前日談に当たる。見た目が可愛すぎるという致命的な欠点を努力でカバーしようと猪突猛進するマイク、生まれ持った才能の上にあぐらをかいて努力を怠るサリー。このまるで正反対な2人の賑やかな学園生活が物語の軸となるわけだが、テーマは極めてシビアだ。どんな夢にも努力だけでは乗り越えられない壁がある。と同時に、どれだけ天賦の才に恵まれていても努力なしには大成できない。そんな厳しい現実を主人公たちの前に突きつけつつ、個人個人が違った個性を持つように、その使命や役割もまた人それぞれであることを教えてくれる。夢や目標への階段は長く険しい。時には理不尽でさえある。しかし、己の個性をちゃんと理解し、現実との折り合いを付けることさえできれば、きっと無限の可能性が開ける。子供だけでなく親にとっても、将来を語り合う上で格好の教材となる作品かもしれない。

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清水 節

一人前を目指す“あまちゃん”怪物のほろ苦い挫折と成長

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ヴァーチャル体験が発達して子供たちが怪物を怖がらなくなった時代、本当に心を掴むとはどういうことか――。エンターテインメントの本質を、怖がらせ屋のプロが集う企業のオトナの事情を通して描いてみせたのが、2001年製作のオリジナル版だった。▼小柄で怖くないけれど努力家のマイクと、恐ろしい巨体に恵まれ傲慢なサリーの前日譚を描く今作の舞台は、怖がらせることの基礎を知る学舎。そこでは、怖がらせるべき相手の個人データを収集し、相手に応じて異なる怖がらせ方を学ぶ。まさに顧客と向き合うマーケティング至上主義を体得させるかのような学校だ。▼もちろんピクサーは、そんな教条主義へのアンチテーゼを投げかける。訓練し鍛えることは必要であっても、アカデミックな教育機関の最大の欠点は、生徒を画一化し鋳型にはめようとすることだ。▼テーマは挫折と成長。前作に比べいささか毒は薄まったものの、人生で大切なことも反面教師もすべて怪物大学で教わった、と言わんばかりのバランスよき物語は、少年少女にとってバイブルになることだろう。いや、お父さんも「もしドラ」的ビジネス書を破り捨て、劇場に足を運んでほしい。▼ホンモノ=一人前を目指す“あまちゃん”怪物の“きっと、うまくいく”学園の冒険は、この夏の必須科目だ。

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森 直人

テーマは努力と才能、そして学歴批判!?

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

オリジナルの前史を描くアイデアがまず面白い。「モンスター界の東大」とでも言うべき名門校を舞台にした一種の学園映画だ。この大学のヒエラルキーでは「こわい」ことが上位(ノリは体育会系)で、「かわいい」ことが下位(ソフトな文化系)。ちびすけなマイクはコンプレックスをバネにした不屈の努力家だが、資質の欠如ゆえ認めてもらえず、本人も競争意識で視野が狭くなっている。一方のサリーは名家のサラブレッド。だがエリートのおごりで落ちこぼれてしまう。この二人が他のハミ出し学生たちと組んで、みそっかすチームの奮闘を描く過程は『がんばれ!ベアーズ』のパターン。だが本作はその先があり、いかにしてマイク&サリーは一流企業に潜り込んだのか?ってところまで描く。結局、学校という場における勝利者と、社会で実戦的に使える優秀な人材とはまるで違うんだよ……とでもいったビジネス系の新書みたいな生々しく現実的な余韻があった(笑)。

この短評にはネタバレを含んでいます
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