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ロード・オブ・セイラム (2012) 映画短評

2013年9月28日公開 101分

ロード・オブ・セイラム
(C) 2012 Alliance Films (UK) Limited, All Rights Reserved.

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

なかざわひでゆき

過去作品とは一線を画す巨匠の風格

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 「ハロウィン」のリメイク版シリーズを経たロブ・ゾンビ監督が、久々に手掛けたオリジナル作品。これが意外なくらいに正攻法で作られたオカルト映画であり、それと同時に彼らしい破壊的な狂気を孕んだ傑作である。

 舞台となるのは魔女裁判で有名なマサチューセッツ州の田舎町セイラム。地元のラジオDJとして働く女性ハイジのもとへ届けられた1枚のレコードをきっかけに、彼女の周囲で禍々しい出来事が起きていく。東海岸の端正な古い町並みを美しい映像で捉えつつ、現代社会に潜む魔女の呪いをじわりじわりとあぶり出していく演出は、過去作品とは一線を画して巨匠の風格すら漂う。随所にインサートされるサイケデリックでクレイジーなビジュアルを含め、70年代カルト・ムービー群からの影響も相当に濃厚だ。

 さらに、ジャンル系映画に縁の深い往年の名優を揃えたキャスティングも、ただ単なる顔見せに終始することなく見事。既に引退していたジュディ・ギーソンを引っ張り出してきた功績も見逃せないが、なによりその氷のような美貌が邪魔して正当な評価を得られなかったメグ・フォスターから凄まじい怪女優としての素質を引き出した点も特筆に値する。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

すべてが狂ってる

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

特異な一本として推したい。ロブ・ゾンビの監督作といえば、ニューシネマ期のホラーを見事に蘇生させた『デビルズ・リジェクト』(05年)がとりわけ印象深いが、今作は真正面からサイケデリック・アートを展開し、それに迫る域。1960~70sカルチャーを再現しても、彼の場合は「趣味」よりも「本気」を感じさせるのが凄い。オタク的レプリカではなく、本当に時代を間違えて産まれたような生っぽさがあるのだ。

内容は17世紀末に米マサチューセッツ州セイラム村で起きた魔女裁判の呪いが、一枚のレコードを通して、現代の同地で暮らす薬物依存症の女性に降り掛かるというもの。呪術力を演出するためのサウンドデザインが素晴らしく、問題曲の他に使われるヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「毛皮のマリー」と「オール・トゥモローズ・パーティーズ」なども巧くハマっている。『デビルズ・リジェクト』ではレーナード・スキナードの「フリーバード」の選曲が抜群だったが、今作も“音楽映画”として非常に優れているのだ。

『月世界旅行』の引用も含むB級でアシッドなコラージュ感覚はたまらなく魅力的。ホドロフスキー師匠は本作を観ただろうか?

この短評にはネタバレを含んでいます
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