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母性 (2022):映画短評

母性 (2022)

2022年11月23日公開 116分

母性
(C) 2022映画「母性」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

相馬 学

母と娘の間には、暗くて深い闇がある!?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 トリッキーな構成が面白い。永野芽郁がいきなり登場していることを踏まえれば、このトリックも優しい方ではあるが、それでもサスペンス性は十分。

 緊張感を高めるうえで効果を発揮しているのは、母と娘がさらされる嫁ぎ先での悪意。義母義妹、その家族、さらには夫にまで来診的な圧迫を受け、それが深まるほど母娘の間の葛藤がドス黒さを増し、胸のざわつきを覚えずにいられない。

 毒を含んだドラマではあるが、母親であること、娘であることの意味の重さを伝えた力作であることに疑問の余地はない。女優陣は誰もが熱演で、それだけでも目を奪われる。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

女性たちを苦しめる「母性神話」の呪い

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 いつまでも娘のまま愛されたい母親と、そんな母親からの愛情に飢えた娘。この2人の愛憎入り乱れる複雑な親子関係を、「藪の中」のごとく微妙に食い違う両者の証言によって詳らかにしていく。女性ならば誰でも母性が備わっているもの、という「母性神話」に強い疑問を呈する作品。加えて、「女の子なら」「嫁なら」「母親なら」こうあるべきだという社会が押し付ける伝統的な女性の理想像が、ある種の強迫観念となって親子関係を歪めてしまったことをも示唆する。それは鬼のような義母と従順な義妹の間柄も同様。「女性らしさ」でも「母親らしさ」でもなく、「あなたらしさ」で生きてもいい。そんな力強いメッセージを感じさせる良作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

“イヤミス”よりヒューマンドラマ寄り

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「ハコヅメ」より先に本作で共演していた戸田恵梨香と永野芽郁だが、母と娘の両視点から描かれる、いわば“「羅生門」モノ”。そういう意味ではミステリー構成ではあるが、湊かなえ原作おなじみの“イヤミス”を求めてしまうと、どこか拍子抜けしてしまうのも事実。登場人物を削るなど、ダイジェスト感が強いなか、“母性とは何か?”を問うヒューマンドラマに寄せており、観る性別や世代によって、印象が変わる一作であるのは間違いない。また、戸田演じるヒロインをハコイリ娘に育てた大地真央演じる実母と、嫁いだヒロインを奴隷のように扱う高畑淳子演じる鬼姑。対照的な2人の母親の不気味さは、映像化した意味が大きいかも。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

削れていく魂

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

なにはなくとも戸田恵梨香の魂を削った演技を見てください。本人もかなり悩み、完成後も正解だったかどうかと思案し続けているとのこと。しかし、その演技は確かに心に焼き付けられます。
登場人物に感情移入しにくい部分を映画を楽しめないと思うか、得体の知れないものを見ているとするかは難しいところですが、できれば後者の感覚で恐がって欲しいところです。映画的な仕掛けもあって次はどう来るのか?という気持ちが強くなります。廣木監督作品はこの秋冬に3本の新作が公開され、全て東京国際映画祭で上映されましたがインパクトではこれがダントツですね。

この短評にはネタバレを含んでいます
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