モガディシュ 脱出までの14日間 (2021) 映画短評

ライター2人の平均評価: 4.5
ハリウッドに負けない優れたアクションスリラー
「アルゴ」のようなスリルと「戦場のアリア」のようなヒューマニティを持った、オリジナリティあふれるアクションスリラー。ハリウッドに負けないビッグなスケールで、韓国にここまでの映画が作れるのかと感心させられる。クライマックスのカーチェイスのシーンを見て、この監督に声をかけるハリウッドのプロデューサーが出てきたりするのでは。よく考えられたカメラの動きや編集が、さらに緊迫感を与える。ソマリア内戦の恐ろしさの描き方は容赦ないが、とくに前半、所々にドライなユーモアを入れているのもうまい。ラストの感動と切なさも、やりすぎず良い感じに抑えていて、それがさらに効果的。
この短評にはネタバレを含んでいます
改めて知る、韓国映画の現時点でのレベル
モロッコでオールロケの映像、そのスケール感にひたすら息をのむ。ソマリアの反乱軍の人々は、銃を持つ子供も含め、背景に押しやられてなお生々しさを醸し出す。いつ撃たれるかという恐怖、道に転がる死体…。ハリウッド大作のごとく細部まで手抜きナシ。車のガラスを突き抜けスピーディに動くカメラなどアクション演出も冴えわたり、この手の作品では放置されやすい、逃げた先での生理現象、耐え難い気温も伝え、カオスの渦中を疑似体験させる。
韓国と北朝鮮それぞれの大使館員たちの脱出劇は当然のごとく確執や、人間レベルの絆がポイントになるが、その違和感のなさも実話が基といえど奇跡的。感動もドライな点が逆に胸を締めつける見本。
この短評にはネタバレを含んでいます