ショウタイムセブン:映画短評
ショウタイムセブン
ライター2人の平均評価: 2.5
怒りが向かう矛先は?
原作は韓国映画『テロ、ライブ』。メディアを使った劇場型犯罪の手法を使った作品は数あれど、『テロ、ライブ』はエンタメを使って容赦なく政治に物言う韓国らしく、実際に起こるかもしれないリアルな危機感を感じさせてくれる骨太でダイナミックな社会派だった。しかし本作の製作陣が興味を示したのは、結局のところ劇場型犯罪の部分だけだったようだ。それがタイトルの”ショウタイム”の言葉にも表れている。発電所を狙った爆破テロが起こるが、犯人の怒りが最終的に向かう矛先は巨悪の根源ではなく、一番叩きやすい相手。各方面に問題を起こさず、議論も呼ばないよう配慮された内容は、ある意味、昨今の日本映画を象徴している。
テンションの高いテンポの良さが心地よい
突然かかってきた爆破犯からの電話、交渉役に指名されたのは落ち目の元トップキャスター、さらに爆弾の魔の手はスタジオにまで及び…。98分というタイトな上映時間を活かしてテンションが下がることなく一気に駆け抜けまるシチュエーションサスペンス。劇中では2時間程の出来事なのですが、それを98分にまで刈り込んだことでテンポが速くなったかと思います。オリジナルとなった韓国映画の熱気を巧く移植しましたね。やはり主役に阿部寛をキャスティングできたのが大きかったと思います。圧倒的な主役力を感じさせる存在感が映画をグイグイと牽引します。メディアの在り方が問われている現在にまさにぴったりな一本と言えるでしょう。