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ヒッチコック監督役に挑戦した名優アンソニー・ホプキンスが語る映画『サイコ』の製作状況とは?

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サテライトTVで記者会見に応じるアンソニー・ホプキンス
サテライトTVで記者会見に応じるアンソニー・ホプキンス

 映画『羊たちの沈黙』や『日の名残り』などでおなじみのイギリス出身の俳優アンソニー・ホプキンスが、話題の新作『ヒッチコック(原題) / Hitchcock』について語った。

 同作は、衝撃的なシャワーシーンと驚きのラストシーンで話題となった名作『サイコ』の製作の舞台裏を、アルフレッド・ヒッチコック監督と彼を支えた妻アルマ・レヴィル、そしてジャネット・リーアンソニー・パーキンスらのキャスト陣やスタッフ陣が、いかにして困難だと思われていた映画を製作していったかを描いている。作家スティーヴン・レベロ原作「アルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコ」を映画化し、監督は映画『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』のサーシャ・ガヴァシがメガホンを取っている。

 ヒッチコックの印象について「彼は体格が大きかったうえに、前世紀最高の監督の一人で、さらに多くの人々に影響を与えてきた。僕自身は、若い頃から彼のファンで、映画『裏窓』や『めまい』などが特に好きだった。『サイコ』はマンチェスターで鑑賞し、映画内に漂う恐怖感に驚かされた。当時のイギリスは、ヒッチコック映画を鑑賞することは、ある意味で一大イベントだったのを覚えているよ。ただ今作で、彼を演じていたときは、サーシャ監督のおかげで楽しんで演じることができたんだ。なぜなら、サーシャ監督の熱意と自信がみなぎっていたために、僕らは彼に感化され、撮影中よりも、むしろ撮影終了後にヒッチコック役を演じたという不安にかられることになったんだ」と語るアンソニーの演技は、オスカー主演候補に匹敵するほど素晴らしい。

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 ヒッチコックが『サイコ』を製作した後に、MPAA(アメリカ映画協会)と映倫指定について争ったことについて「彼は、その当時すでに偉大なアーティストであったために、MPAAの規定(今作では、トイレやシャワーシーンついて議論している)に対して、緩和を要求することもできた。だが彼は、この映画を製作するために、家を担保にしていたために、このMPAAの判断次第では映像がカットされ、興行的に失敗する可能性もあり、家を失う可能性さえあったんだ。もっとも、彼は最後まで自分の意志を曲げなかったけれどね」と述べた。

 綿密に研究してヒッチコック役を演じたアンソニーは、一度だけヒッチコックに会ったことがあるそうだ。「彼とは、ロサンゼルスにあるレストラン、"Medizone"で会ったことがあるんだ。実は、当時僕のエージェントだったジョージは、ヒッチコック監督も担当していて、彼以外にもマリリン・モンローなどのエージェントでもあった。彼に会ったのは1979年で、翌年にエリザベス2世によりナイトの称号を授けられる予定で、ちょうどその発表がされたばかりのときだった。彼がレストランにいることに気付いた僕らは、彼の座っているテーブルに行き、ジョージが僕を紹介してくれたときに、彼は『Charmed, I'm sure』(紹介してくれてありがとう)と言ってくれたんだ」とヒッチコックとの貴重な体験を明かした。

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 さらにアンソニーは、あの『サイコ』のシャワーのシーンで、当時ヒッチコックは音楽を使わずに、映像だけで編集するつもりだったが、妻のアルマに説得させられ、音楽を使用したことも話してくれた。映画は、ヒッチコックがいかに周りに支えられて製作していたかが理解できることで、ヒッチコック作品のファンでなくても楽しめる、ハリウッドの話題作にふさわしい上出来の作品に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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