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英国女王が抱えていたストレスが魅力的だった

スティーヴン・ダルドリー監督
スティーヴン・ダルドリー監督

 『リトル・ダンサー』などで知られるイギリスの映画監督スティーヴン・ダルドリーが、現イギリス女王であるエリザベス2世の若き頃を描いたNetflixドラマ「ザ・クラウン」に挑んだ背景には、女王が抱えていた大きなストレスなどによって創作意欲をかき立てられたことがあったという。

 『愛を読むひと』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』などのダルドリーが、『クィーン』のピーター・モーガンと組んで製作した本作。もともとこの題材に興味を持っていたという彼は、3年前からピーターと共に本作に取り組んだ。電話インタビューに応じたダルドリーはエリザベス2世の人生について、「彼女は若い海軍士官と恋をして“普通の生活”が送れると思っていた最中に、突然即位することになってしまいました。イギリスの歴史の中でも非常に波乱万丈な時代、さらに年老いた首相がいる中で、若くもろさもあり、経験があまりない彼女が戴冠したのです」と説明。そして彼らは、彼女が感じていたと思われる「女王としても家族としても大きなストレス」を含めた「さまざまな要素にわれわれの制作意欲がかき立てられた」のだという。

 立場上すべての権力を握っているように見えても、実は自分の意見が言えず、葛藤を抱えながらも女王らしく振る舞わなければいけない。さらには英国教会のトップである彼女はモラル上の模範でもいなければいけない。1952年に25歳で即位したエリザベス2世は、王位を継承することで夫ら家族との関係を変え、国や英国教会のトップとしての重荷を背負い、強い女性でなければならなかった。「こういった状況は、イギリスに限らず世界中の女性が直面していることなのではないでしょうか?」と話すダルドリー監督は、ドラマのテーマは非常に現代的だと力説する。「なのでこのシリーズを歴史ものではなく、現代劇として製作しているのです」。

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 1億3,000万ドル(約143億円・1ドル110円計算)という巨額の資金を投資して作られたといわれている本ドラマ。ダルドリー監督は「確かにテレビシリーズとして考えれば、すごく大きなお金と感じるかもしれません。しかし10時間の映画と考えればすごく妥当だと思います」と語る。壮麗なイギリス王室をドラマで表現するために。そして一番の配慮はモデルであるイギリス王室に。ダルドリー監督は「ロイヤルファミリーは実際に存在する人々なので、非常に慎重に描かなければなりません。非常に多くのリサーチをしなければなりません。そしてその中の一部を描いているわけですが、それはいろいろな方々が見た事実を、僕らの視点から描いた解釈だと思っていただければと思います」と明かしていた。(編集部・井本早紀)

ドラマ「ザ・クラウン」はNetflixで配信中

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