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強制収容所に入れられた日系アメリカ人を描いたドキュメンタリー映画

自身の祖父母も強制収容所に入れられていたというコンラッド・アデラー監督
自身の祖父母も強制収容所に入れられていたというコンラッド・アデラー監督

 ジャパン・ソサエティー開催の「ジャパン・カッツ!」で上映されたドキュメンタリー映画『レジスタンス・アット・トゥーリーレイク(原題) / Resistance at Tule Lake』について、7月19日(現地時間)コンラッド・アデラー監督が取材に応じた。

【写真】「ジャパン・カッツ!」のオープニングで上映された『忍びの国』フォトギャラリー

 本作は第2次世界大戦中にカリフォルニア州北部のトゥーリーレイク強制収容所に入れられた日系アメリカ人が、過酷な環境下での生活を強いられていた事実をドキュメンタリーとして描いた作品。『エネミー・エイリアン(原題) / Enemy Alien』(日本未公開)のアデラー監督がメガホンを取った。

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 今作の製作のきっかけは、アデラー監督が米同時多発テロ後に、サード・ワールド・ニューズリールという映画配給会社に加わったことだそうで「米同時多発テロ後のイスラム系の移民者を『エネミー・エイリアン(原題)』で描いた後に、周りの人から僕の家族の歴史(日系人の強制収容)を映画として描くことを勧められたんだ。僕の祖父母も強制収容所に入れられていたんだけど、米政府の指示に従順だったらしくてね。そんな彼らより、(日系アメリカ人が抵抗した)トゥーリーレイク強制収容所に興味を持ったんだよ」とアデラー監督。政府に抵抗する人を題材として好んだことを明かした。

 また、当時の米大統領フランクリン・D・ルーズベルトによる「大統領令9066号」(軍が必要とする場合、国防上、強制的に外国人を隔離できる発令)の署名について「近年でもトランプ大統領による大統領令が話題になっているから、今作でも時間をかけて説明し、明確に描いたんだ。この発令は決して日系アメリカ人とは記していないし、日系アメリカ人を拘留する権限も与えてはいない。あくまで米軍が、誰が米国政府にとって危険かを判断し、その危険と判断された人物を隔離することができるというものだったんだ」と説明した。

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 強制収容の対象だったのは“帰米”と呼ばれる日系アメリカ人だったが、彼らについて「帰米とは、もともと米国生まれで米国籍を持っているが、教育を日本で受けて再び米国に戻ってきた日系アメリカ人を指しているんだ。彼らは米国人が持っていない観点を持ち、日本文化にも精通していた。トゥーリーレイク強制収容所で抵抗していたのは、そんな帰米が多かったんだよ」とアデラー監督。続けて「彼らは当時、日系人強制収容所でのスケープゴートになっていたんだと思う。これはまるで、渡航者が現地で過激派になることを恐れて、イスラム圏への渡航を禁止しているようなものだよ」と今のアメリカの状況に置き換えて解説した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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