カポーティの名作「冷血」の元ネタ事件を追ったドキュメンタリー

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アカデミー賞ノミネート監督でもあるジョー・バーリンジャー監督

 作家トルーマン・カポーティの名作「冷血」の基になった殺人事件をドキュメンタリーとして捉えた話題のミニシリーズ「コールド・ブラディッド:ザ・クラッター・ファミリー・マーダーズ(原題)/ Cold Blooded: The Clutter Family Murders」について、ジョー・バーリンジャー監督が、昨年11月10日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。

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 本作は、1959年にカンザス州ホルコムの農場主ハーバート・クラッターの一家4人が殺害された事件の真相に迫ったドキュメンタリー。当時のカンザス州の捜査当局主任刑事の視点を彼の息子が語ったほか、クラッター家の友人や街の人々のインタビューなどでつづられる。『メタリカ:真実の瞬間』のバーリンジャー監督が、アリソン・バーグカハネ・クーパーマンと共同監督を務めた。

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 『パラダイス・ロスト(原題) / Paradise Lost』シリーズでも、冤罪で刑務所に入っていた人々を助けるなど、自身の作品には「社会的正義という要素が組み込まれている」と語るバーリンジャー監督。カポーティの名作との出会いについて、「『冷血』は実際の犯罪を記したものの中で最も広く認知された作品で、現在は同様の作品が普及しているよね。高校生の頃に、課題として読んだのだけど、とても影響を受け、夏休みに2、3回読み返したくらいだよ。作品はストーリー構成上、素晴らしい手法が取られていて、目が覚めた気がしたね。映画監督として影響を受けたのは、ジャーナリストの技術と小説家の技術が結合されていたところかな」と語る。同小説の出版50周年記念(2015年)から製作を始めたそうだ。

 製作意図については、「このシリーズでは、犠牲となった家族の声を伝えるべきだと思ったんだ。ノンフィクション小説『冷血』の批評の中には、犯罪者であるペリー・スミスやリチャード(ディック)・ヒコックが文学的に英雄視されているという批判もあったからね。それは実犯罪を記した小説が普及する中で、とても不幸な副産物でもあったよ。だから、今作では犯罪者よりも犠牲者に人間味を持たせているんだ。もちろん、犯罪者にも人間味を持たせることは悪いわけではないよ。この3次元の世界で生きている限りは、なぜ犯罪が起きるのかを理解する必要があるからね。それでもノンフィクション小説では、時間をかけて犠牲者を描くことは決してしない。それがノンフィクション小説というジャンルがもたらすリスクでもあるんだ」と、あえて犠牲者に焦点を当てた意図を語った。

 また、ホルコムのコミュニティーが、小説「冷血」での母親ボニーの扱われ方に不満を持っていたという話について、「実際に(クラッター家は)愛情に満ちた家族であったと(ホルコムのコミュニティーから)聞かされて、遺族(殺人現場にはおらず、生存したクラッター家の2人の娘)にも何らかの安堵を与えられたら……と僕は思っているんだ。ホルコムのコミュニティーは、自分たちの土地があの悲惨な殺人事件を生んだ場所と思われていたくはないし、他の多くのことでこの地を知ってほしいと思っているからね。だから、家族やコミュニティーの声を伝えることにしたんだ」と明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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