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カルト教団の集団自殺事件ドラマ、主演俳優が降板を考えたワケとは

左からローリー・カルキン、マイケル・シャノン、テイラー・キッチュ
左からローリー・カルキン、マイケル・シャノン、テイラー・キッチュ

 実在のカルト教団を描いた話題のテレビミニシリーズ「ウェイコ(原題)/ Waco」について、俳優のテイラー・キッチュマイケル・シャノンローリー・カルキン、元FBIの交渉人ゲイリー・ノーズナーさん、集団自殺事件の生存者デヴィッド・ティボドーさん、そしてジョン・エリック・ドゥードル監督と脚本家ドリュー・ドゥードルが、1月24日(現地時間)、ニューヨークのPaley Centerで語った。

【写真】ローリー・カルキンの兄は、ご存じマコーレー・カルキン

 同シリーズは、1993年にテキサス州ウェイコで起きたキリスト系カルト教団、ブランチ・ダビディアンの籠城と集団自殺を描いた作品。教祖デヴィッド・コレッシュの人間像に迫りながら、信者が教団本部でFBIと対峙していくさまを描いている。

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 教団の生存者で今作のアドバイザーでもあるティボドーさんは、今作が実現したことを「世間ではブランチ・ダビディアンはカルト宗教とされ、(信者には)人間的な価値は見いだされず、世間からは銃撃戦や集団自殺の結末も自業自得だと思われていたんだ。これまでの映像化でも、僕らの人間性が描かれることは決してなかったから、教団の人々が実際にどんな人間だったかを(世間に)知ってもらえるのは、とても光栄なことなんだ」と感慨深げに話す。

ジョン・エリック・ドゥードル監督(左)と脚本家のドリュー・ドゥードル

 製作のきっかけは、監督・脚本・製作総指揮を務めたジョンが、歴史上の悲運な人物を題材にした作品を手掛けようとリサーチしていた時に、この教団の事件を思い出したことだそう。「教団の生存者のストーリーとして、デヴィッド(・ティボドー)の著書を読んだら、事実を全く知らなかったことに気づかされたんだ」。脚本・製作総指揮を手掛けたドリューも、「全ての出来事には二面性があるけれど、僕たちが知るこの教団の事件は、(メディアにより)とても一方的に偏ったものになっていたんだ。だから、もう一方(教団側の)ストーリーを知る必要があったんだよ」と続く。「ただ、教団の信者は、銃撃戦・籠城の後、集団自殺をしたから、誰もメディアとは話せず、事件後は彼らの主張を誰も聞かなかった。FBIの交渉人ゲイリーの著書を読んでみて、いかに当時の対応が難しかったかも理解できたんだ」と両サイドから事件を描く理由を説明した。

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 FBIの交渉人ノーズナーさんを演じたマイケルは、「彼の著書を読んだけど、どの章も映画化やテレビ化できる内容だったね。彼の交渉技術は初めのうちは謎なのだけど、(読み進めていくうちに)彼の頭脳、(交渉相手に対する)同情や共感する心に惹かれたんだ」と出演経緯を話し、ノーズナーさんとは頻繁に話をするようにして、できる限り彼に似せたことも付け加えた。

 デヴィッド・ティボドーを演じたローリーも、「今まで、存命中の人物を演じたことがなかったし、演じることに迷いもあったよ。自分の解釈で演じようとも思っていたけれど、彼と会ってみて、この役を二人で共有したいと思ったんだ」とティボドーさんの意見を多く取り入れたことを明かしたが、一方で、コレッシュを演じたテイラーは、撮影前に降板を考えたこともあったそうで、「下準備の段階で先入観を持ち過ぎてしまって、さまざまなアングルで演じられる扉を閉ざしていたんだ。だから彼を非難することをやめ、純粋に真実味のある彼のストーリーを追うようにしたよ。役に人間味を持たせるために、あまり人の意見に惑わされずに演じたね」と明かした。

 当時、コレッシュに交渉したノーズナーさんは、「『一体どんな人物なの?』といつも聞かれるけれど、彼はチャールズ・マンソンのようなサイコ的な人物ではなく、人間味のある、世界を異なった観点から見つめていた人物だったんだ。ナルシストで、利己的で、巧みに人を操るが、それと同様にチャーミングな部分も持ち合わせていたと個人的には思うね。だからもし(事件が)異なった状況下に置かれていたら、異なった結末を迎えていたかもしれないよ」と振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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