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井浦新、なぜ途切れない?こだわり「20代で捨てた」

井浦新
井浦新 - 撮影:上野裕二

 昨年は2本の主演映画が公開され、今年も16日に最終回を迎える連続ドラマ「アンナチュラル」(TBS系・毎週金曜夜10時)、3月17日公開の映画『ニワトリ★スター』など出演作が相次ぐ井浦新が、これまでの役者人生、そして俳優としてのこだわりを語った。

 「アンナチュラル」では、ドSな解剖医というインパクトの強い役柄をさらりと演じて注目を浴び、出演する映画は、予算規模の大小にこだわらずクオリティーの高さで評判を呼んでいる。現在43歳、若手俳優と呼ばれる時期を過ぎ、40代になってもなお新たな魅力を放ち続ける彼の活躍は目覚ましい。

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 昨年は主演作を含め、『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』『』『二十六夜待ち』など3本の映画が公開。そのほかNHK Eテレの教養番組「日曜美術館」(毎週日曜午前9時~)の司会を務めるなど多忙を極める井浦に、出演作をどのように決めているのかを聞いてみると「『これに出たい』とか、『テレビには出ない』とか、そういう妙なこだわりは20代でやめました」と心境の変化を明かしつつ、「野球に例えたら、投げられた球は全部打ちたい」という。

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ニワトリ★スター
『ニワトリ★スター』より。泣きの演技は圧巻!(C) 映画『ニワトリ★スター』製作委員会

 そんな井浦にとって、『ニワトリ★スター』で演じた大麻の売人は強烈な変化球のような役柄だ。長年の友人である、かなた狼監督からのリクエストは「これまでの井浦新を殺して演じること」だった。「とにかく引き算の演技だったので大変でしたけど、充実していました」と話す笑顔からは、作品への手応えが伝わって来た。監督のかなた狼とは今は亡き友人の TERRY THE AKI-06 を介して知り合ったと言い、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(2007)に始まった故・若松孝二監督との交流など井浦が大切に育んできた「縁」がキャリアへとつながっているようにも見える。昨年公開の映画『光』では、瑛太が井浦にPRイベントで「心中してもいい」と熱い思いを告白していたように、共演者からの信頼も絶大だ。

 出演作が続いていることに対して「何の計算も狙いもないんです。テレビドラマが放送されるときに映画が公開されたり、たまたまタイミングが重なっているだけで。こういう偶然っていうのは、狙ったりすると失敗するだろうなって思います」と話す姿は、実に謙虚だ。

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井浦新
俳優としてのブレないスタンスを語る井浦

 2000年代後半からテレビドラマにも積極的に出演するようになった井浦は、「極端な言い方をすると、やっていることはテレビドラマも映画も一緒」という。「カメラの前で芝居をする。作品の中で生きるということ。確かに違うところもありますが、それは役者としての楽しみ方の違いだと思うので、どちらかを否定するというのはナンセンスかなって」とよどみなく話した後に、「今はそう思いますけど、昔は何かいろいろ変なこだわりを持っていましたね」と笑顔で当時を振り返った。

 是枝裕和監督作『ワンダフルライフ』(1999)で映画初主演を務め『ピンポン』(2002)が大ヒットし、俳優として駆け出した20代、若松孝二監督をはじめ多くの監督との出会いを経て劇的な成長を遂げた30代を経て40代になった井浦がこれからどこに向かうのか、期待は高まるばかりだ。(取材・文:森田真帆)

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