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日韓の歴史を振り返るきっかけとなる作品で開幕!第13回大阪アジアン映画祭

金子文子の著書を参考にして役作りをしたというチェ・ヒソ
金子文子の著書を参考にして役作りをしたというチェ・ヒソ

 第13回大阪アジアン映画祭が9日、大阪・阪急うめだホールで開幕した。オープニング作品は韓国映画『朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキスト』(イ・ジュンイク監督)で、主演女優チェ・ヒソが舞台挨拶を行った。

第13回大阪アジアン映画祭
第13回大阪アジアン映画祭が大阪・阪急うめだホールで開幕

 同作は関東大震災直後に起こった朝鮮人虐殺事件の背景を、投獄されたアナキスト朴烈と金子文子(日本人の思想家であり、内縁の妻)の視点から描いた史劇だ。2人の自伝や関連書籍、当時の新聞などから時代考証をし、朴烈と行動を共にした不逞(ふてい)社のメンバーはもちろん、事件を画策した内務大臣・水野錬太郎をはじめ当時の閣僚まですべて実名で登場。非常に重いテーマながら虐殺事件を隠蔽しようとする内閣と、裁判沙汰にすることで事実を世に知らしめたいとする朴烈たちとの攻防戦をコミカルに描くことで、事件の不条理さを際立たせている。

キム・ゴンテ
栗原一男役のハン・ゴンテ(右)も登壇

 文子を演じたチェは小学校時代に大阪・住吉の建国小学校に在学していたそうで、会場には恩師や、同じ「不逞社」のメンバー・栗原一男役のハン・ゴンテも会場に駆けつけて急きょ、舞台挨拶に参加した。チェは劇中でも披露している流ちょうな日本語で「わたしにとって日本初上映が大阪というのは光栄で、凄い縁を感じます」と喜びもひとしおの面持ちだった。

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チェ・ヒソ
大阪・住吉の小学校に通っていたというチェ・ヒソ

 チェは文子役を演じるにあたり、彼女の著書を参考にしたそうで「強い女性なのですが、彼女には両親に捨てられ貧しい中で育った辛い生い立ちがある。そんな環境で育った女性が、なぜ堂々とした女性になったのか。その理由を知りたく、彼女の著書を10回以上は読んで、想像を膨らませました」と役づくりの舞台裏を明かした。その熱演が実り、チェは韓国のアカデミー賞こと第54回大鐘賞で新人女優賞と主演女優賞をW受賞している。

 大阪アジアン映画祭は会期中、53作品が上映され、うちクロージング作品の戸田彬弘監督『名前』など12作品が世界初上映される。(取材・文:中山治美)

第13回大阪アジアン映画祭は3月18日まで開催

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