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人が本当に死ぬのは忘れ去られた時…『リメンバー・ミー』の死生観

“死者の国”のコンセプトアートとリー・アンクリッチ監督
“死者の国”のコンセプトアートとリー・アンクリッチ監督 - (C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 第90回アカデミー賞で2冠に輝いたディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』のリー・アンクリッチ監督が取材に応じ、メキシコの祝祭「死者の日」をテーマにした本作を貫く死生観について語った。

【動画】これだけで泣ける…『リメンバー・ミー』日本版予告編

 「死者の日」は1年に1度死者たちが家族のもとへ帰ってくる日で、日本のお盆とよく似ている。本作では死者たちはきらびやかな“死者の国”で楽しく暮らしているが、生きている世界の誰からも忘れ去られたとき、彼らは“死者の国”からも消えてしまう……。これはメキシコへのリサーチ旅行で実際に現地の人々から聞いた話に忠実だといい、日本にも似た習慣があることもあり、身近に感じられる考え方といえるのではないだろうか。

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 「人間には“三つの死”がある、という考えを聞いた。一度目は心臓が止まった時、二度目は埋葬や火葬をされた時、三度目は人々がその人のことを忘れてしまった時だ。僕の心が最も痛んだのは、三度目の“最終的な死”だった。生きている人たちの中に、自分のことを覚えている人がもう誰も残っていない時、人は永遠に死ぬんだ。それは本当だ。僕たちには皆、もう知らない遠い昔にさかのぼる親戚たちがいる。彼らはある意味、失われ、忘れ去られている」。

 アンクリッチ監督はこの話を聞いたとき、とても感動したのと同時に心が痛み、初めはこの考え方を映画の中でどう扱えばいいのかわからなかったという。「それで最初はちょっとしたサイドストーリーになるはずだった。でも映画の制作を進めるにつれ、これは映画全体の中心となるアイデアだということに気付き始めた。映画全体がこのアイデアを中心にして作られるべきだ、と。そして、最終的に僕たちはそうしたんだ」と振り返る。

 「“最終的な死”という考え方が、覚えておくことがいかに重要かという、『死者の日』という祝祭の核の部分に行き着くことになる。だから『リメンバー・ミー』(わたしを覚えていて)という劇中で何度も歌われる歌があり、映画のタイトルもそうなんだ。愛する人々のことを覚えておくことは、とても重要だ」。忘れ去られれば死ぬということは、逆に言えば、わたしたちが語り継ぎ、記憶にとどめているかぎり、死者も永遠に生き続けるということだ。

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 アンクリッチ監督は、「死者の日」のような祝祭や文化はないというアメリカの人々も、本作が描いたこの死生観にはとてもオープンで、いい反応をしてくれたと明かす。「彼らは多分、これまでは理解していなかった他の文化について学んだように感じたんだと思うよ。そうした考え方を興味深いと思ったんだ。僕たちが仕事をちゃんとすれば、人々は映画を観た後、家に帰ってこうした伝統を彼ら自身で祝いたくなるだろうということは、いつも意識していた。実際そういう話をよく聞いているんだよ。人々は、彼らの愛する人々や先祖を、毎年積極的に思い出すための独自の方法を見つけようとしているんだ」。(編集部・市川遥)

映画『リメンバー・ミー』は公開中

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