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細田守監督の子育て体験を入れた『未来のミライ』がアヌシー映画祭を魅了

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会場の声援に応える細田守監督

 細田守監督『未来のミライ』が現地時間12日、フランスで開催中の第42回アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門で上映され、945席が満席となった会場でスタンディングオベーションを受けた。同作品は第71回カンヌ国際映画祭・監督週間に選出される快挙を果たし、一回りも二回りも大きくなってアヌシーに凱旋したアニメ界の巨匠の登場に、映画祭中が沸いた。

質問に応える細田守監督【写真】

 細田監督は『時をかける少女』(2006)が、2007年の同映画祭長編コンペティション部門特別賞を受賞したのをきっかけにその名を世界に轟かせ、以降は毎回作品が招待されている。それだけに新作を待ちわびていたファンが多く、上映前には映画祭名物である高揚した観客による紙飛行機が場内を飛び交い、そして上映が始まると、山下達郎のオープニングテーマ曲「ミライのテーマ」に手拍子が沸き起こるという盛り上がりぶりだった。

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映画『未来のミライ』より - (C) 2018 スタジオ地図

 同作品は甘えん坊の4歳児・くんちゃんを通して描かれる、時空を超えた家族の物語。翌日に行われた記者会見では、くんちゃん家族を通して見える日本社会のについて多岐にわたる質問が飛んだ。

 中でも強い関心を示していたのが、子育て事情。くんちゃんの母親が産前産後休業(産休)を早々に切り上げて、職場復帰するエピソードがあることから「日本は産休を取る人が少ないのか?」という問いもあった。

 これに対して細田監督は「制度として母親も父親も休暇を取れるが、活用されていないのが現状です。劇中でお母さんが産休を切り上げて職場に戻るのは会社に請われてではなく人手不足であって、結果的に産休を使わないというのはリアルにあると思います」と説明した。

 その働くお母さんに代わって、劇中、家事と育児に奮闘するのが、自宅が仕事場である建築家のお父さんだ。細田監督が実際に幼子を2人持つ父親であることを知る記者たちからは、実体験がどれだけ作品に反映されているか? と、興味津々のようだった。

 まず細田監督は「お父さんの描写が僕に近いかより、お母さんがどれだけ僕の奥さんに近いかを説明する必要があります」と前置きした上で、夫人から「あなたは人前だと良いパパのふりをするけど実際は違うでしょ!?」と外面の良さを指摘され、それをそのままセリフに活用したという。

映画『未来のミライ』の上映会場にて

 同様に細田監督はこれまでも、長男を授かったばかりの父親としての戸惑いを、血の繋がらないバケモノと少年の絆を描いた前作『バケモノの子』(2015)に込めている。

 だがそれも子どもと月日を過ごすうちに心境に変化があったという。「今回のお父さん役はほとんど僕のことで、まだ父親になりきれてませんが、今回はそれをネガティブに捉えず、家族と一緒に成長していきたいという気持ちがあると思います。子育てというのは子どもだけではなく、大人も育つ。それが実際のところではないでしょうか?」と持論を展開した。

 また日本の出生率が低いことを知る記者からは「子どもが少なくなっている日本で、監督は誰に向けてこの作品を作ったのか?」という問いもあった。

 これには細田監督も神妙な面持ちとなりながら「確かに日本の少子化は歯止めがきかない状態となっており、この傾向は続くと思います。そうするとそれまで日本人が思っていた家族観から変わらざるを得なくなってきた。そういう時代の中で子どもにアニメーションを作る意義をいつも考えさせられます。彼らにどんな未来を描けばいいのか。いつも悩みながら作品を作っていますし、今も考えている最中です」と、複雑な胸の内を吐露した。

 なお同作は、今年12月26日フランス公開が決まっており、国内約250館で上映予定だという。日本の未来は不透明だが、本作の未来は確実に明るいものとなりそうだ。(取材・文:中山治美)

第42回アヌシー国際アニメーション映画祭は6月16日まで開催
映画『未来のミライ』は7月20日より全国公開

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