小松菜奈『渇き。』から5年 中島哲也監督のスパルタ指導に感謝

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小松菜奈

 女優の小松菜奈が、澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」に基づくホラー映画『来る』(12月7日公開)で、『渇き。』の中島哲也監督と約5年ぶりにタッグを組んだ。「自分が5年間、いろんな作品を経て中島監督にどうアプローチするのか、というのがすごく楽しみであるのと同時に不安でもあって。『おまえはまだこんなものなのか』と思われるのも怖いですし、100%力を発揮できないのも怖かったです」。周りの評価に実力が追いつかなかったという長編映画デビュー作『渇き。』から、女優として生きていく覚悟を決めた現在までを振り返った。

【動画】『来る』予告編

 『渇き。』(2014)で学園一の人気者にして裏の顔を持つ小悪魔的な女子高生・加奈子にふんし、鮮烈な印象を放った小松。以降、『近キョリ恋愛』(2014)、『バクマン。』(2014)、『黒崎くんの言いなりになんてならない』(2016)などでヒロインを演じ、『溺れるナイフ』(2016)、『恋は雨上がりのように』(2018)などの主演作(W主演)も公開。マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サイレンス-』(2017)でハリウッドデビューも果たすなど、ハイスピードで約5年を駆け抜けてきた。

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ホラー映画『来る』のキャバ嬢の霊媒師役で、人生初のショートに! (C) 2018「来る」製作委員会

 『渇き。』では報知映画賞新人賞など映画賞も受賞し、高い評価を受けたが小松自身は、実力が追いつかなかった葛藤があったという。「当時は右も左もわからず、ただ現場に居ること、セリフを言うことだけで精一杯でした。『デビュー作なのにすごいね!』と評価していただくことは本当にありがたかったのですが、『それは作品のクオリティーが高いからであって、わたしの実力ではないんだ』と複雑な気持ちもありました。現場で『わたし、本当は無理なんです』って言いたくても言えなくて……」と当時のプレッシャーを振り返る。「一本引かれた線の上を歩かなければならない重さみたいなものがあって、中島監督から『女優を続けていくの?』と聞かれても、何も答えられませんでした」と苦悩や戸惑いを明かした。

 しかし、キャストへの演出が厳しいことで知られる中島監督に対して、「怖い」と感じたことはないというのが小松のタフなところ。「確かに厳しいことをおっしゃいますが、全て正しいんです。それが愛だと思うので、わたしは幸せだと感じていました。できないことが悔しくて泣いたことはありますが、監督が怖くて泣いたことはありません。それに、二人でいる時には『最近どうなの?』『楽しくやってるの?』と声をかけてくださって、すごく優しいんですよ。なので、お会いしていない時も『お元気かな』と気にしていますし、お父さんのような存在です」

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演じる真琴は、ピュアで繊細な内面を持つ女の子 (C) 2018「来る」製作委員会

 新作『来る』で演じるのは、若夫婦(妻夫木聡黒木華)から相談を受け、オカルトライターの野崎(岡田准一)とともに正体不明の脅威と対峙する霊媒師・真琴。心待ちにした監督との再タッグを喜びながらも「キャバ嬢の霊媒師」というキャラクターに戸惑いも。「正直、“キャバ嬢の霊媒師なんているの?”と驚きましたし、想像もつかなくて。ただ、見た目は髪がピンクでぶっ飛んではいるけど、中身は正義感、母性あふれる女の子、というギャップに惹かれ、ぜひやらせていただきたいと思いました」。このキャラクターを演じるために、小松は人生で初めてショートに。全身に傷、タトゥーのメイクを施すために約4時間を費やした。

 今回、監督が小松に対して特にこだわったのが目の演技。苦戦するも、監督の要求に応えようと模索するうちに作品の理解を深めていった。「『もっと目を強く』『もっと目を見開いて』とよく言われました。『真琴は弱いだけじゃない。“あれ”が来るときに突き進もうとする感じと、不安で戸惑っている感じ。戦うときにもいろんな感情があると思うから』と。そう演出を受けるうちに、“あれ”の正体というのは人間の弱さで、それぞれが自分の弱さと戦っていく物語なのかなというふうに思えてきました」

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 5年越しに再会した中島監督に「まだまだ女優をやらせてください」と話し、驚かれたという小松。「そう言えたことに、わたし自身も驚きました(笑)。監督は予定調和というか頭で考えたお芝居が嫌いで、わたしの考えていることも見透かされてしまうんです。『渇き。』のときから常に『面白いことをやって』とおっしゃっていて、当時はその意味が分からず理屈で考えようとしてしまっていたのですが、今はそれを楽しむ余裕が少し出てきたように思います」

 岡田准一、黒木華、妻夫木聡、松たか子ら実力派ぞろいのキャストを相手に、劇中、血まみれになるシーンもあり、『渇き。』から5年のキャリアの積み重ねを感じさせる熱演を見せている。(取材・文:編集部 石井百合子)

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