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大林宣彦監督、役所広司らを外交官のような仕事ぶりと絶賛!

記者会見に参加した(写真左から)大林宣彦監督、常盤貴子、宮崎あおい、役所広司 (フランス・パリの国立映画センターにて)
記者会見に参加した(写真左から)大林宣彦監督、常盤貴子、宮崎あおい、役所広司 (フランス・パリの国立映画センターにて)

 フランス・パリで開催中の、3部構成で日本映画の歴史を振り返る大規模回顧上映「日本映画の100年」の第3部「現代監督特集」が現地時間2月6日からスタートした。連日、日本から監督・俳優たちがパリ入りしており、15日には、代表して大林宣彦監督、役所広司常盤貴子宮崎あおいがフランス国立映画センターで記者会見を行った。

 同回顧上映は日仏友好160年を記念してパリを中心に開催中の、世界にまだ知られていない日本文化の魅力を紹介する複合型文化芸術イベント「ジャポニスム2018」の一環として行われている。日本映画100年の歴史を、日仏の専門家が選んだ119本の映画で紹介するもので、第1部の「日本映画の発芽」では二川文太郎監督『雄呂血』(1925)の弁士付き上映など27作。

 第2部の「日本映画再発見I」は“4K修復版で見直すクラシック傑作選”と題し、黒澤明監督『羅生門』(1950)など23本。

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 同IIは“知られざる傑作映画特集”で、曽根中生監督の日活ロマンポルノ『天使のはらわた 赤い教室』(1979)や、小川紳介監督の222分に及ぶドキュメンタリー映画『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(1987)といった日本でもなかなか上映される機会のない32本が並んだ。

常盤貴子、大林宣彦監督、宮崎あおい
フランス語で挨拶する常盤貴子(写真中央)

 そして約半年かけてたどり着いた現代監督特集は37本。大林宣彦監督は『HOUSE ハウス』(1977)と『花筐/HANAGATAMI』(2017)の2本。常盤は『花筐/HANAGATAMI』と『だれかの木琴』(2016)の2本。宮崎は『EUREKA ユリイカ』(2000)、声を務めたアニメ『おおかみこどもの雨と雪』(2012)、『わが母の記』(2011)、『怒り』(2016)の4本。

 役所に至っては第2部IIで上映された『タンポポ』(1985)、『Shall we ダンス?』(1996)、『眠る男』(1996)を含め、『EUREKA ユリイカ』、『キツツキと雨』(2011)、『わが母の記』(2011)、『三度目の殺人』(2017)、『孤狼の血』(2017)と実に8本が上映されており、まさに現代の日本映画界の“顔”となっている。

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 役所は「日本映画100年の中に、数本が選ばれたことを光栄に思っています。本当にフランスのお客様が映画を楽しんでくださっている様子を(上映に立ち会って)実感しました。これで日仏が力を合わせて何かできればいいかなとつくづく思っています」と挨拶した。

 続いて常盤はNHK Eテレの語学番組「旅するフランス語」で習得したフランス語で自己紹介しつつ「フランス映画祭2018のプレゼンテーターを務めた時に、俳優たちのフランス映画を観てほしいという熱にすごく感動しまして、今回、私たちもその役目が出来たらと思って来ました。一人でも多くの方に、日本映画を観ていただく機会が得られることを願ってます」。

 宮崎も「私は映画作りを通して素晴らしい方と出会って、素晴らしい経験をしたことで人生が豊かになったと思っています。この素敵な出会いを日本の方だけでなく、世界中の映画を大好きな方々と重ねていけたらいいなと思います」と語りかけた。

大林宣彦監督、常盤貴子、宮崎あおい、役所広司
(写真左から)大林宣彦監督、常盤貴子、宮崎あおい、役所広司 (フランス・パリの国立映画センターにて)

 この3人の挨拶を聞いていた大林監督は「あぁ、われわれ日本映画を支えてくれている俳優さんたちは見かけもチャーミングだけど、言葉もなんてチャーミングなんだろう。まるで外交官のような仕事をされている、とても知的な映画の伝達者であるということに感動しまして、こういう俳優さんたちを生かす映画を作らなければと思ってます」とほほをゆるめた。

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 しかし日仏友好160年の話に及ぶと顔を引き締め「大変尊い歴史です。その間に、世界で2つの大きな戦争があり、それぞれの国でもいろんな戦争、侵略、さらに虐殺。それらによる国民たちの犠牲というのを体験してきました。にも関わらず160年を経て、こうして一同が集まる。そもそも映画というのは戦争被害者である市民の味方であり、庶民を勇気づけ、お互いに仲良く語り合っていこうという、アイデンティティーが身についたのだと思います」。

 「これから起きる戦争に勝った負けたはなく、人類が滅びてしまうだけ。それを若い方が敏感に感じて、私の弟や孫に当たる方が素晴らしい映画を作ってくれています。そのほとんどがインディーズで活動していて、一人一人の正直な、一生懸命な願いを映画にしていこうというのが日本でも確立しました。そういう作品を集めた回顧上映に、日本映画の商業映画を作ってきた関係者たちや、財界、政界の人までが応援してくれました」

 「過去は変えられないと思いますが、歴史の未来はきっと変えらることが出来ると信じて、これからやってくる戦争をなくし、平和にする力を映画に託して、若い人たちが頑張っています。私もまだまだ、30年は死にません。頑張ります」と気を吐き、会場から大きな拍手が沸き起こった。

 第3部の現代監督特集は3月19日まで行われ、今後も『Love Letter』(1995)と『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016)の岩井俊二監督、『親密さ』(2012)の濱口竜介監督、『団地』(2015)の阪本順治監督がゲスト登壇する。(取材・文:中山治美)

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