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トランプ政権の元首席戦略官を描いたドキュメンタリー、関係者らが語る

左から、司会者のアンドリュー・マランツ、アリソン・クレイマン監督、記者のポール・ルイス氏、政治アナリストのジョアン・ウォルシュ、製作者のマリー・テレーズ・ギルギス
左から、司会者のアンドリュー・マランツ、アリソン・クレイマン監督、記者のポール・ルイス氏、政治アナリストのジョアン・ウォルシュ、製作者のマリー・テレーズ・ギルギス

 トランプ政権で首席戦略官だったスティーブン・バノン氏を描いた注目のドキュメンタリー映画『ザ・ブリンク(原題)/ The Brink』について、アリソン・クレイマン監督、製作者のマリー・テレーズ・ギアギス、記者のポール・ルイス氏、政治アナリストのジョアン・ウォルシュ氏が、3月14日(現地時間)、ニューヨークのベータワーク・スタジオズで行われた特別試写後のQ&Aで語った。

【作品写真】マイケル・ムーア監督がトランプに迫ったドキュメンタリー『華氏119』

 保守系のニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の元会長であるバノン氏は、2016年の米大統領選でトランプ陣営の選挙対策本部長に指名され、その後、トランプ政権で首席戦略官を任されたものの、2017年8月トランプ政権を退いた。本作は、その後バノン氏がヨーロッパのナショナリストやポピュリスト、保守派の政治活動を支持していくことになる過程を描いたもの。

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 以前は英国の大手新聞社、ガーディアンのワシントン特派員として働き、現在はロンドン拠点の記者として活動するルイス氏は、バノン氏について「僕はスティーブンがホワイトハウスを去った後に、彼がどのような活動をしているのかに興味があって、彼に関する捏造(ねつぞう)記事とは異なった、しっかりした裏付けのある真実を記す目的で、彼に近づいたんだ」ときっかけを語る。

 続けて、その人柄を「彼と接してすぐに気づいたことは、彼はとてもチャーミングで愛嬌があるということで、それはジャーナリストに対しても同様だったんだ。肩をたたいたり握手したり、スキンシップの多い人でもあったし、冗談を言って良い気分にさせてくれることもあった。もっとも、真剣な質問でも、軽くジョークでかわされているような感覚を受け、それが僕をいら立たせることもあったけれどね」と明かした。

 一方、CNNの政治アナリストのウォルシュ氏は「彼がトランプ政権で首席戦略官だった頃は、彼のアイデア(移民を少なくすること、中国やメキシコとの自由貿易を制限すること)を国民が支持していると思い込んでいたようだけど、その多くは人種差別によるものだわ。反ユダヤ主義ではないと語っているものの、彼にはユダヤ人の友人がいて、反ユダヤ主義の人々の権力に支えられていたのよ」と否定的な見解を語った。

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 今作に登場している彼の姿が、普段の彼に近いと思うと語るのは、バノン氏が買収した会社で働いていたことがあるという製作者のマリーだ。「もちろん、そのときは仕事上で連絡をしていたけれど、彼が右翼的な価値観を持つようになってからは、全く連絡を取らなくなっていたの。でも、彼が大統領選でトランプ政権に関わるようになったとき、あえて彼が(トランプと仕事をすることを批判した)不愉快になるメッセージをE-mailで送りつけたわ。驚くことに彼はそれに対して、(建設的な考えを基にした)返信をくれたの」当時のバノン氏は、“トランプ政権の黒幕”、“ダース・ベイダー”などと報道で表現されていたが、それは一方的な見方だと思っていたということもあり、このやりとりを受けて、彼に関するドキュメンタリーを描いても良いと思ったそうだ。

 クレイマン監督は、バノン氏に関して、これまで報道を通して伝えられていたこととは異なり、今作では何もかも透明に描いていると語る。「スティーブンが今作に参加した理由には、ポールやジョアンのような有名な記者に認めてもらいたい部分が、きっとあったと思うの。実際の彼は文化的で、洗練された知識人で、ポールが彼との単独取材を行った際には、かなりタフな質問をしているけれど、タフな質問をすればするほど、彼はポールを含めた記者たちが再び自分を取材することを望んでいたのよ」バノン氏自身は、トランプ政権下での自分のイメージを払拭したかったのかもしれない。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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