気前良く粋だった渥美清さん 倍賞千恵子、佐藤蛾次郎らタヒチの思い出

『男はつらいよ』さくら役の倍賞千恵子、山田洋次監督

 1969年8月27日に『男はつらいよ』シリーズ第1作が封切られてから50年を迎えた今日、都内・新宿ピカデリーで行われたイベント「祝!50周年 寅さんファン感謝祭」が開催。山田洋次監督、倍賞千恵子佐藤蛾次郎が出席し、同シリーズの主人公・車寅次郎、通称“寅さん”として愛された故・渥美清さんの伝説的なエピソードを語った。

【動画】イベントの様子

 日本映画史に燦然と輝く歴史を残した『男はつらいよ』シリーズ。寅次郎の妹・さくらを演じた倍賞は、寅次郎にふんした渥美さんについて「思い出はいっぱいある」としみじみ。「長い間ご一緒に仕事をしていましたが、あの人から『役者はこうあるべき』とか『芝居とはこういうものだ』という話を聞いたことは一度もないんです。一つ学んだことは、相手の立場に立ってものを考えること」と思い返す。

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 渥美さんは倍賞が悩んでいることを察すると「ご飯を食べに行くか」と誘い、おいしいご飯をごちそうしてくれたという。「渥美ちゃんは、いつもわたしの気持ちを考え、声をかけてくれるんです。人間として大切なものを教えてもらいました」と懐かしむ倍賞。寺男“源公”役の佐藤にとっても渥美さんは同じような存在だったようで「ある日渥美さんが『蛾次郎、タヒチに行こう。俺が全部出すから』と声をかけていただき、山田監督とさくらさん(倍賞)たちとご一緒したことがある」とエピソードを披露。

“源公”役でおなじみの佐藤蛾次郎

 とにかく気前が良く、周囲の人々をもてなすことが好きだったという渥美さん。それは山田監督に対しても同じだった。脚本を執筆中に陣中見舞いに来た渥美さんは、銀座で山田監督にご飯をごちそうしたあと、山田監督が冗談交じりで「これから熱海に行って温泉でも入りたいね」と言うと「じゃあ今から行きましょう」とタクシーで熱海に向かい出したという。しかし、翌日も仕事があった山田監督はだんだん気が重くなり、結局は途中で引き返すことになったというが「あそこで熱海に行きたいと言ったら『行きましょう!』と言える粋なところが渥美さん。本当にすごい人です」と楽しそうに語っていた。
 
 渥美さんとタッグを組んだ『男はつらいよ』シリーズは、今年12月27日に公開される新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』で50作目を数える。1本目を撮ったときは「この作品で終わり」と考えていたという山田監督だったが「ヒットしちゃって続編を作ることになってね」と当時を振り返る。すると2作目の『続・男はつらいよ』(1969)もヒットし、さらに作品が続くことになったという。
 
 「その後『フーテンの寅』(第3作・森崎東監督)と『新・男はつらいよ』(第4作・小林俊一監督)は脚本だけ書いて、監督はほかの人に任せたんです。そうしたらまた当たってしまって、本当にこれで終わりにしようということで、また自分で監督を務めた『男はつらいよ 望郷編』を作ったんです。でもそういう意気込みは作品に出るのか、この映画が爆発的にヒットしてしまい、なかなかやめられなくなって、ここまで続いてしまった」と制作秘話を語り、客席を盛り上げていた。(磯部正和)

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