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チェルノブイリ観光客が増加 衝撃ドラマのリアルさを識者が熱弁

ビジネスインサイダージャパン編集者の西山里緒氏、立命館大学准教授・社会学者の開沼博氏、ライターの今祥枝氏
ビジネスインサイダージャパン編集者の西山里緒氏、立命館大学准教授・社会学者の開沼博氏、ライターの今祥枝氏

 19日、チェルノブイリ原発事故をベースにした、米HBO局の新作ドラマ「チェルノブイリ」第1話のトークイベント付き試写会が都内で行われ、立命館大学准教授・社会学者の開沼博氏、 ビジネスインサイダージャパン編集者の西山里緒氏、映画・海外ドラマライターの今祥枝氏が出席、同ドラマの見どころについて語りあった。

「チェルノブイリ」第1話冒頭10分

 1986年4月26日に旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で発生した、未曾有の原発事故に直面した人々の姿を描き出す本ドラマ。今年5月にアメリカ、イギリスで放送・配信されると、諸外国からも注目を浴び、本作の再現度、リアルさへの絶賛とともに、事故や被曝被害の描写などを巡り、世界各地で反論、議論が巻き起こった衝撃作となる。

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 開沼氏はチェルノブイリ原子力発電所への取材経験もあり「これまでいろんな原発関係の作品を見てきましたが、ドラマということもあってか、多様な側面を描けているなと思いました。動物が被ばくして殺処分する兵士の葛藤や、裁判で事実を追及する過程など、ひとつでは言い切れないなと思いました。それと同時にリアリティーがある。作業に関わった方が亡くなっていく描写なども、これまで文章などでつづられることはありましたが、これを映像にするのかと思いました」とドラマから受けた衝撃を明かす。

 また今氏は「近年、特にHBOの質が上がっています。その頂点に『チェルノブイリ』があると思います」と指摘し「こういう題材は、ドキュメンタリーなどでも山ほど観ているという人も多いかもしれない。チャレンジングな題材的で、どう描くかは難しい作品ですが、膨大な調査の中から、あの悲劇はこういう視点から今につながるということがスッキリと観やすい。脚本・構成力のすばらしさを感じます」と解説した。

 事故発生から33年。現在のチェルノブイリはどうなっているのか。開沼氏は現地の印象を「ドラマで描かれているような場所が、ここまで片付いたのかと思いますよ。このドラマを観て、現場に行く人が増えたとのことですが、それもオススメです」と語る。まさに今年の8月、取材でチェルノブイリを訪れたばかりだという西山氏は「非現実さがありましたね。あとは観光客が増えていました。誰に聞いても、ドラマを観て来たという人がほとんどで。20代くらいの若者に聞いたけど、現地の人もこのドラマの影響を感じているようです。ガスマスクやガイガーカウンターがおみやげであるし、バスツアーなどもあって。意外に拍子抜けというか、戸惑いもありました」と述懐。さらに「SNSのインフルエンサーも現場に行っているんですが、そこでヌード撮影を行う人もいたりして。これはなんだろうという違和感はありましたね」と付け加えた。

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 そんな本作の意義について今氏は「アメリカが描くドラマだから、ロシアを悪者にしているんでしょうという人も多かったのですが、むしろ今のアメリカの社会に向けたものが強いと思う。優れたドラマは、過去を描いていても、現代の問題点を指摘するものですから」と力説。この日のトークショーは1話の上映前に行われたもので、開沼氏は「1話の試写会を観る方に言うのもなんですが、この1話の後が面白いんですよ。そう思いながら観ていただきたい」と笑顔で呼びかけていた。(取材・文:壬生智裕)

海外ドラマ「チェルノブイリ」(全5話)はBS10スターチャンネルで放送
【STAR2 字幕版】9月25日(水)より 毎週水曜よる11:00ほか
【STAR3 吹替版】9月30日(月)より 毎週月曜よる10:00ほか
Amazon Prime Video 「スターチャンネルEX」で 9月26日(木)よりオンデマンド配信

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